4章では、ネヘミヤは、異邦人のサヌバラテなどの嘲(あざけ)りに会いましたが、それにもかかわらず「城壁はみな、その高さの半分まで継ぎ合わされた。民に働く気があったからである」(4章6節)と記されていました。共同体が心をひとつにして働く時、ものすごい力を発揮します。奇蹟をもたらします。一方で、ネヘミヤは、周りの敵たちに対する具体的な備えもしました。つまり、城壁を築く者たちは、片手で荷を担い、片手に投げ槍を握って仕事をしました(4章17節)。
5章では、民たちが同胞のユダヤ人によって苦しめられているという現実を記しています。それは貧しいユダヤ人が、高い利息と担保のゆえに、息子や娘を奴隷として売り渡さなければならない状況が生じていたことです。それを知ったネヘミヤは、ユダヤ人を全員集めて、大集会を開き、その場で富裕層で金貸しをしていた人たちに対して、まっすぐに語りました。このような時に、利息をとり、自分たちの兄弟を売り渡そうとすることは、決してしてはならないことであり、神を恐れて、負債を帳消しにし、担保としてとった土地も返してやり、利息も返してやるように勧告しました。すると、彼らはそれに同意しました。彼らが反発することなくネヘミヤの勧告に従った背景には、ネヘミヤ自身の清廉潔白な生き方があったからと思われます(5章12節、14節~18節)。
6章では、その土地を治めていた異邦人のサヌバラテ、トビヤ、ゲシェムなどが、脅迫状をしつこく、ネヘミヤの所に送ってきたことが記されています。しかし、ネヘミヤは、動じることなく、城壁の再建の仕事にかかりきりでした。脅迫がうまくいかないと、今度は預言者を買収して、ネヘミヤに罪を犯させようとしました。しかし、ネヘミヤは、彼らの企みを見抜き、賢明に対処しました。
こうして、城壁は52日かかって完成しました。周りの異邦人たち、ユダヤ人の敵たちは、これを聞いて恐れました。確かに、神の守りがあったことが明らかになったからです(16節)。そのころ、ユダヤ人の指導者の中にも、敵対するものたちと、ひんぱんに手紙をやり取りしている者たちがいたのです(17節)。それにもかかわらず、無事に、エルサレムの城壁は完成したのです。このような状況の中で、神の守りがなければ城壁再建は決して完成することはなかったはずです。
すべての問題は祝福の門口です。ユダヤ人の指導者の中の内通者がいることは、ネヘミヤにとって、深刻な、大きな問題でした。しかし、それゆえにこそ、城壁の完成は、不可能を可能にすることが出来る唯一のお方である、主のお働きであることが明らかとなり、主の栄光が示されたのです。すべての問題は、主の御手の中にあり、益となるのです。
清宣教師