ヨブは、26章で友人たちとの討論を終えましたが、討論の中でヨブの心の中には、ある考えがだんだん形をなしてきたようです。それで、ヨブは、まず、27章と28章で、友人たちに自分の格言という形で語り、そのあと、29章~31章で神に向かって語っています。

2節~6節は、潔白の誓いです。ヨブは自分の潔白を神への誓いという形で表現しています(2)。自分を攻めている神を証人に立てて誓うということは、一見、不思議なことですが、ヨブにとっては、神を信じているがゆえの行動でした。5節の[潔白]と訳されていることばは、239節、316節に出てきますが、239節では、「誠実」と訳されています。

7節~23節は、友人たちへの警告のことばです。ヨブは神のしもべとして、神との契約の中で生きてという実績があります。つまり、友人たちのような因果応報の原理に立つ、頭での信仰ではなく、実践の場での信仰でした。ここでヨブが語っている悪人たちの行く末については、ヨブの友人たちが語った内容と同じです。しかし、友人たちの場合は、ヨブを一方的に裁くだけで、そこに神の憐みは表れていませんでした。一方、ヨブは友人たちに対して、どんなときにも見捨てない神の憐みをもって警告しているのです。そして、ヨブが神との正しい関係に立ってこのことをなしたので、のちに、神はヨブを友人たちを回復するための執り成し手として用いられたのです(ヨブ記428節~10節)。

清宣教師