30章と31章の内容は、エジプトとの同盟への警告です。
その少し前、北イスラエル王国は、アッシリアによる攻撃を何度もうけました。ティグラセ・ピレセル3世地、ついで、シャルマヌエセル5世、ついで、サルゴン2世の攻撃を受け、北イスラエル王国の首都サマリヤは陥落しました。この時点までは、南ユダの指導者たちが選んだ、アッシリヤへの臣従による生き残りの作戦は成功したように見えました。しかし、北イスラエルを攻略したアッシリヤは、その野望をむきだしにします。つまり、アッシリヤの目的は、南ユダをも攻略することにあったことが明らかにされます。このとき、南ユダの指導者は、イザヤの警告にもかかわらず、南にある強大な国、エジプトに援助を求めることにより、問題解決を考えていました。そこで、イザヤは、神に信頼することをしないで、自分たちの策略により頼みエジプトに援助を求めようとする親エジプト派の上層部に対して、厳しく叱責するのです。これが、30章と31章のイザヤのことばです。
30章1節―7節:エジプト頼みのむなしさ。「ああ、反逆の子ら」と呼びかけています。神の民を自認する民に向かって、じつは、神のみこころを知りながら反抗する民でしかないことを指摘しています。6節の「ネゲブの獣に対する宣告」と記されていますが、これは、「ネゲブの家畜の貢物」と訳すことも出来ますので、エジプトへの貢物としての財宝を家畜にのせて運んでいることを指しているのかも知れません。7節の[ラハブ]とは、強大な力をもつものを指しています。ここではエジプトを指していると考えられます。しかし、そのラハブも、何もしないで、休んでいるのでは、助けにはなりません。
8節―17節:主を信頼しない指導者。ここでは、口頭で宣言するだけでなく、書き記して伝える預言の形式を採用しています。のちになって、そのことばが証拠となって、神のみことばの真実が明らかにされるためでもあります。彼らは、11節で「私たちの前からイスラエルの聖なる方を消せ」というほどに、不信仰の極みに達していました。これは見方を変えれば、イザヤは、指導者の反感をかうほどに、権力に屈することなく、イスラエルの聖なる方のお名前で力強く預言していた結果であるとも考えられます。15節から17節にかけて、イザヤは改めて「同盟ではなく、主に信頼すること」と勧めています。エジプトの馬に頼ったところで、まったく役に立たないことになると、警告しています。
18節―26節:あわれみを施す神。不信仰や不義を裁かれる神は、一方で、恵みを与えようと待っておられる神です。指導者の不信仰のゆえに、民たちが食料不足や水不足に苦しむことになるけれども、主を呼び求める者を、主は必ず、助けだし、導いて下さるとの約束を語られました。主は誤った道を進む者にも、うしろから、正しい道を教えられます。そして偶像礼拝の空しさから救い出してくださいます。25節以降は、世界的な規模での預言であり、終末時代のキリストの再臨のときの出来事の預言と考えられています。主は民の傷を包み、打たれた傷を癒してくださいます。そこに主の栄光が満ちあふれるからです。
きょうのみことばの中で、私自身が何度も、何度も、解決をいただいた約束のことばがあります。それは、15節です。「立ち返って静かにすれば、あなたがたは救われ、落ち着いて、信頼すれば、あなたがたは力を得る。」。もし難問にぶつかったら、ぜひ、落ち着いて、主に信頼して下さい。すると、主が力を与えて下さいます。そして、主の導きで問題は解決します。暗唱すると、とても役に立つ、みことばです。
清宣教師
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