今日の11章は、前半(1節―13節)はエルサレムにいる人々についての預言であり、後半(14節―21節)は、エゼキエルと共にバビロン捕囚となっている人たちに関する預言です。
まず、エゼキエルは幻の中で、エルサレムの神殿の東側の聖域に連れて行かれます。そこで、25人の貴族たちを見ました。その中には政治的な指導者であるヤアザヌヤやペラテヤなどがいました。彼らは悪いはかりごとをめぐらしており、主はエゼキエルに対して、彼らに預言するように命じられました。「家を建てるにはまだ間がある。」とか、「この町はなべであり、私たちはその肉だ」と言っているのでした(3節)。彼らは、偽預言者のことばに耳を傾け、「エルサレムは安全であり、災いは来ないから、新しく家を建てよう」というのです。また、「上等の肉が鍋の中にあるように、エルサレムに残されている神の民である我々も守られるのだ」というのです。主のみこころは預言者エレミヤを通して明らかにされていました。「南ユダの暴虐や不義や偶像礼拝の罪のゆえに、バビロンのネブカデレザル王を用いて、南ユダの民を罰し、バビロンへの捕囚の民とする」というものです。数年前には、自分たちもエゼキエルと同じように、危うくバビロン捕囚となるはずでしたが、彼らは捕囚となった者たちを見下し、自分たちこそ聖なる都エルサレムに住むにふさわしい大切な者であると高ぶっていたのです。つまり、エゼキエルを含む捕囚となった者たちは神の裁きを受けて外国の地に散らされた者であり、自分たちは真の神の民であるから、神に愛されエルサレムにあって守られているのだと解釈していたのです。そして、ひそかに、エジプトとの間に軍事同盟を結ぼうとしていました。彼ら指導者のこのような間違った判断こそ、バビロンのネブカデレザル王の徹底的な報復により、エルサレムの町のいたるところを南ユダの民たちの死体で満たすことになるのです。主は、鍋の中の肉は死体となり、さらに、彼ら指導者たちは、鍋の中から取り出されて国境で殺されると預言しました(11節)。この預言はバビロンのネブカデレザル王がエルサレムを徹底的に破壊し、また、南ユダの政治的指導者たちを国境のリブラまで連行し、そこで虐殺したことで成就しました。そして、ベラヤが死んだのを見たエゼキエルは、「ああ、神、主よ。あなたはイスラエルの残りの者たちをことごとく滅ぼされるのでしょうか」と嘆きと共に主に訴えました(13節)。エゼキエルもまた、エルサレムにいる者たちが、残りのものであると思って期待していたようです。しかし、それは違うのです。次の14節―21節で明らかになります。
エルサレムの住民たちは、「捕囚となった民たちは、聖都エルサレムを追われて、外国の地で汚れ、神に見捨てられたものたちであり、自分たちは正しい者たちなので、エルサレムに残り、神の好意を受け取っている者たちである」と自負していました。しかし、主はエゼキエルに対して、「あなたの同胞たち、つまり、エゼキエルと共にバビロンに捕囚の民となっている者たちこそ、残りの民である」と言われたのです。その証拠に、「国々の中に散らされた者たちのところで、わたしは彼らの聖所となっていたのだ」と言われました。主は捕囚の民から離れているどころか、彼らの聖所となって、共におられるのです。しかも、主は、この捕囚の国々から、これらの残りのものをやがて、約束の地であるイスラエルの地に連れ戻すと約束されたのです(16節)。しかし、ただ連れ戻すのではなく、民たちの心を新しく変えて下さるという約束も与えられました。「わたしは彼らに一つの心を与える。すなわち、わたしはあなたがたのうちに新しい霊を与える。わたしは彼らのからだから石の心を取り除き、彼らに肉の心を与える」と言われました。石の心とは神のことばを聞いても悔い改めない頑なな心です。肉の心とは、神の御声を聴く時に、それを受け入れることの出来る柔らかな心の事です。神の民のこころを神の民にふさわしく変えて下さり、そして、イスラエルの地に連れ戻してくださるという素晴らしい約束です。最後(22節―25節)の部分は、神の臨在がエルサレムの神殿から離れ去る光景が描かれています。もはや、神の裁きの時が来たのです。
清宣教師
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