13章は、エルサレムの偽預言者に対する告発です。主が語られていないのに「心のままに預言し」、「自分の霊に従う」者たちのことです(2節、3節)。彼らへの主の裁きとして「わたしの民の交わりに加えられない」、「イスラエルの家の籍にも入れられない」、「イスラエルの地にもはいることができない」という3重の宣告が告げられました。「交わり、籍、土地」の三重の恵みから除外されるという裁きです(9節)。偽預言者たちは、民たちの不安を紛らわせるために、主が語ってもいないのに「平安(シャローム)」を宣言することがしばしばありました。しかし、シャロームの本来の意味は、神との正しい関係の上に成り立つという意味です。それを、むしろ、ただ、平安だ、平安だ、と言って、神との正しい関係から目をそらさせることをしていたのです。罪に満ちたエルサレムにおいて、ただ、うわべだけの平安を保証することは滅びにむかわせることに過ぎませんでした。それは壁にしっくいを塗って大丈夫だと宣言するようなものです(10節)。強風と大雨や雹がふれば、すぐに、剥げ落ちて、壁そのものも崩れ落ちてしまいます(11節―14節)。つまり、エルサレムは、崩れ落ち、廃墟となってしまうのです。そのとき、初めて、民たちは自分たちの過ちに気付き、主のことばが正しかったことを知るのです(15節、16節)。
ところで、偽りの預言者たちは、偽りの「平安」を語ることにより、イスラエルの家の破れ口を修理するどころか、その破れ口を偽りの平安で覆い隠してしまいました(5節)。こうして、イスラエルの民は、主の前に悔い改めて破れ口を修理し、石垣を修理する機会を失ってしまいました。現代に当てはめると、偽りの預言とは、原発の危険性について「安全神話」を語り、その危険な破れ口を隠し、覆ってしまうようなことです。一方、真の預言者とは、破れ口に立ち、自分のいのちをかけて修理するものです。モーセはそういう人でした。イスラエルの民が金の仔牛を作って偶像礼拝をしたときに、主なる神はイスラエルの民を滅ぼそうとされました。そのとき、モーセは民たちを厳しく戒め、悔い改めを迫り、神の前に立ち、自分のいのちをかけて執り成しの働きをしました。これが真の破れ口に立つ預言者の働きです。現代に当てはめると、人々の目を問題点から引き離すのではなく、「あいつらは神経質な人間だ」という非難をうけながらも、人々の間に立って原発の危険性の真実を語り、破れ口に立つ人です。クリスチャンは、地の塩であるとイエス様は言われました。また、塩が塩気を無くしたら、道端に捨てられるだけであるとも言われました。人々は真理を嫌いますが、真理を語るのがクリスチャンの使命ですね。
17節―23節においては、呪法の紐について、語られています。とくに、女性がこの働きをしていたようです。女預言者とは呼ばれていませんので、女占い師のようなものと思われます。僅かの収入のために、民たちを食い物にする女占い師の働きを糾弾しています。魔よけの紐と称して商売していたのでしょうか。あなたには凶相があります。この魔よけの紐を買えば、災いが逃げていきますとか、こうして、民たちを占いに引きずりこみ、主の前に罪を犯させ、本来死んではならない者たちを死に追いやっているのです。あるいは、悔い改めるべき罪のゆえに悲しみに会っているのに、悔い改めることをさせずに、手軽に癒してしまうのです(18節、19節)。
カトリック教会で言えば、中世の免罪符がありました。免罪符を買うと、「煉獄(天国と地獄の間にある領域とカトリックは教えています)」での刑期が免除されると教え、不安をもつ者たちに安心感を与えました。しかし、これは真の悔い改めの必要を覆い隠すものでした。ここから、マルチン・ルターらによる宗教改革が始まる契機となったことは有名ですね。これは遠い昔の事ではなく、現代のクリスチャンの私たちにも関係があります。人間関係を重視するあまり、愛を語りますが、罪を指摘し、悔い改めを促すことが難しいことです。これは現代の私たちクリスチャンの大きな罠のひとつであると思います。
清宣教師
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