今日の16章ですが、2節―7節では、エルサレムの町と名指しされていますが、このたとえは、エルサレムの住民だけでなくイスラエル民族全体に当てはまるものです。あなたの生れはカナン人の地であり、あなたの父はエモリ人、あなたの母はヘテ人であった、と言われています。カナンの地とは、道徳的堕落の典型であり、そのために主がカナンの地にいる民を追い払い、イスラエルの民を導き入れたのです。カナンの地の代表的な部族である、エモリ人、ヘテ人の子と言われていますが、血筋をあらわすというよりも、道徳的な堕落の罪に染まった本質を示しています。エルサレムの住民はあの忌むべき堕落したエモリ人やヘテ人たちとなんら変わらない不道徳と偶像礼拝の民になってしまっていることを表しています。
ここでは、ある旅人が野原に捨てられた赤子を発見することから話が始まります。「旅人」とは「主」ご自身を表しています。「赤子」は「エルサレムの住民」です。へその緒を切る者もなく、血まみれでもがいている赤子をかわいそうに思い、旅人は「生きよ」と呼びかけて、救い出しました。繰り返し、「生きよ」と言って育てました。そして、8節―14節では、その子が成長して結婚適齢期になった時に、旅人はその女に、自分の衣のすそを彼女の上にひろげ、求婚しました。そして、「イスラエルの民」は主の花嫁となりました。それで、主は、花嫁の体を洗い、あらゆる美しい着物を着せ、宝石の飾りを与えた結果、彼女は諸国の民の間でも評判となりました。旅人がすべての完全な贈り物で彼女を美しくさせ、彼女は女王にまでなったのです。15節―34節では、彼女は自分の美しさが評判になると高ぶり、不品行を行うようになりました。しかも、旅人が与えた最高のもので、自分のために男の像を作り姦淫をしたり、しかも、子どもたちを生贄として殺して偶像に捧げることまでしました。つまり、「イスラエルの民」は主の契約の民として、主に祝福され、経済的にも豊かになり、平和を享受していたのですが、それを偶像礼拝を楽しむ生活へと変えていったのです。このような宗教的な姦淫だけではなく、政治的にもエジプトと軍事同盟を結んだり(26節)、あるいはアッシリアと軍事同盟を結んだり(28節)、あるいはカルデヤ(バビロン)人と軍事同盟を結ぶ(29節)ようなことをしたのです。本来は、主の契約の民ですから、主に拠り頼むべきでした。しかし、この世の権力により頼むものとなってしまったのです。35節―43節では、主の愛を裏切り、諸国の民と姦淫をおこなったイスラエルの民に対して、主は小高い家をくつがえし、彼女の美しい品々を奪い取り、彼女が姦淫した愛人たちの前に、彼女の裸をさらけだし、群衆をあおって、彼女を石で打ち殺し、彼女の家を焼かせると宣言しました(39節―41節)。これは当時の姦淫を犯した女に課せられた刑罰の方法でした。この例えのように、エルサレムは、バビロン軍の侵略により、すべての財宝を奪われ、破壊され、家々は焼かれてしまいます。これが主の刑罰です。しかし、これは彼女が正当な刑罰を受けることにより、彼女が立ち返ることを願っての裁きでした(42節―43節)。44節―52節では、サマリヤとソドムの罪との比較の上で、エルサレムの罪を告発しています。ソドムは邪悪な行為のために、神の裁きをうけて火で滅ぼされ死海の底に沈められました。サマリヤも信仰の道から堕落してアッシリアの大軍によって滅ぼされました。しかし、ここではあのソドムよりも、サマリヤよりも、このエルサレムの罪は重いというのです。だから、必ず、エルサレムを裁くと宣言されるのです。しかし、53節で回復の約束が語られます。53節―63節で、ソドムとサマリヤとエルサレムの回復が約束されます。この預言は、エルサレムの住民がバビロン捕囚から解放されて帰ってきた(紀元前538年)時に部分的に成就しましたが、本来、ソドムも、サマリヤも、エルサレムもということで、終末時代に成就するイスラエルの民と異邦の民の永遠の回復を指している預言であると考えられます。
私たちも神の家族です。多くの祝福を主から受けています。それを偶像礼拝や欲望を満たすために用いないで、主の御計画の成就のために用いましょう。
清宣教師
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