ゼパニヤは、ユダの悪王マナセの時代に生れました。預言者ゼパニヤはヒゼキヤ王の子孫であり、王族の一員であったと考えられます(1章1節参照)。マナセとアモンは50年以上におよび、国家的偶像礼拝を強制し、維持しました。それで南ユダ王国の霊的、道徳的、宗教的、社会的腐敗はすさまじく、神の裁きによる滅亡は不可避でした。それでゼパニヤは、主の預言者として「わたしは必ず地の面からすべてのものを取り除く」(1章2節)と、地上の全被造物に及ぶ神の裁きを宣言しています。そして、4節~13節において、ユダとエルサレムに対する裁きを述べています。10節の[魚の門]とはエルサレムの城壁の北側の門であり、北方からの敵の侵略がある事を示唆しています。14節~18節では、主の日、つまり、主からの刑罰の日です。このとき、それは非常に早く来る(14節)と記されている通り、カルデヤ人(新バビロニア帝国)の攻撃は予想を上回る速さで迫ります。そして、カルデヤ人の素早い攻撃で、人は避難する道を見失い、逃げ惑い、町は焦土と化し、どんな金銀をもっても避けることはできないのです。それは南ユダの人たちが主に罪を犯したからです(17節)。
2章では、1節~3節で悔い改めを迫ります。そして、悔い改めないなら南ユダ王国だけでなく近隣諸国に対しても裁きがなされることを宣告します。4節~7節は、ペリシテの滅亡の預言です。8節~11節は、モアブとアモンの滅亡の預言です。12節は、エチオピヤの滅亡の預言です。13節~15節は、アッシリヤの滅亡の預言です。しかし、彼らは「私だけは特別だ」(15節参照)と自己満足と高慢のために、主の預言を無視するのです。今の日本も、自己満足、無神論的世界観、物質万能主義に陥っており、創造主を認めようとしていません。日本もこの偽りから早く抜け出して創造主のもとへ立ち返ることが出来るように祈っていきましょう。
3章では、1節~8節において、エルサレムに対する主の日の裁きが記されています。「ああ」ということばで始まり、2節では、(1)神の声である預言者に聞こうとしない。(2)神の懲らしめを受け入れない。(3)主に信頼しないで外国により頼む。(4)神に近くあろうとしない偶像礼拝者、背信の民であると、4つの強い否定詞をもって彼らの過ちを指摘しています。また、人々の罪を告発しています(1節~5節)。そのあと、「わたしを待て」と言われ、審判者である主の性格が述べられています。9節以降は、主の日の救いについて述べられています。散らされた民たちが帰還します(9節、10節)。「あなたはわたしの聖なる山で、二度と高ぶることはない。わたしは、あたなのうちに、へりくだった、寄るべのない民を残す」と言われるように、神の残りの民を回復されます(11節~13節)。14節~20節では、「シオンの娘よ。喜び歌え、」から始まり、「あなたの神、主は、あなたのただ中におられる。救いの勇士だ。主は喜びを持ってあなたのことを楽しみ、その愛によって安らぎを与える。主は高らかに歌ってあなたのことを喜ばれる」(17節)と記しています。イスラエルは祝福され、全地の諸国民の祝福の導線となるのです。
これでゼパニヤ書を終わります。もの凄く厳しい裁きが列挙されていますが、最後は、永遠の救いで閉じられています。主の裁きは、私たちを悪から救い出すためです。悪に染まったままでは未来がありません。悪に気付いて悪を離れることから未来が開かれます。父なる神は、私たちが自分たちの悪に気付くように、最後の手段として、御子をこの世に遣わされました。そして、御子が十字架に付けられることにより、私たちの悪の正体を暴き、一方で御子の真実の愛を示されました。その結果、私たちは、三位一体の神を信じ、父なる神の愛、御子イエス様の恵み、聖霊様の交わりに導き入れられた者です。
清宣教師
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