今から25世紀前の預言者です。紀元前586年、エルサレムはバビロンによって壊滅しました。その後、紀元前538年ペルシャのクロス王が、エルサレム神殿の再建を命じる勅令を出しました。しかし、実際には、エルサレム神殿の再建は、はかどりませんでした。バビロン捕囚後の最初の預言者が、きょうのハガイです。同時期、ゼカリヤやマラキといった預言者が出てきます。執筆年代は、紀元前520年ごろと考えられています。エズラ記(第2歴代誌の次の書)5章1節、6章14節に、預言者ハガイと預言者ゼカリヤの二人が、協力して、神の宮が再建される様子が詳しく記載されています。ハガイの預言は、4つのメッセージから成っており、このすべてが4カ月足らずの間に与えられたものでした。第1に、神殿再建への挑戦(1章1-15節)、第2に、強くあれとの挑戦(2章1-9節)、第3に、深く考えよとの挑戦(2章10-19節)、第4に、信仰に立てとの挑戦(2章20-23節)でした。
ペルシャ王クロスの勅令により、ゼルバベルに引率されてバビロンからエルサレムへ帰った5万人ほどのユダヤ人たちは、エルサレムに祭壇を築き、仮庵の祭を祝い、主の神殿の礎を据えたのですが、サマリヤ人たちの反対などに遭い、その工事が15年間も中止されていました。その時、主は預言者ハガイとゼカリヤを用いて、神殿再建の工事を進ませ、ついに、紀元前516年、完成にいたらせたのです。
ここで、現状を良く考えよ、と言われています(1章5節)。目先のこと、自分のことで精一杯で、あちこち、走り回るのですが、思ったようには上手くいかないのです(6節)。そのような現状のなかで、良く考えるように勧めています。優先順位はなにか、ということです。イエス様が言われたことと同じです。まず、第1に、神の国と神の義をもとめなさい、です。目先のことや自分たちのことに心を配る反面、大事なことをおろそかにしてしまうのです。忙しさに紛れて、大事なことを見失ってしまうのです。神様のことを忘れて、一所懸命、努力しても、どんなに稼いでも穴の開いた袋にいれるようなものです。まず、山に上り、木を運んできて、宮を建てよ、とハガイは言いました(8節)。まずは、主を礼拝するための神殿の再建からはじめるのです。そうすれば、主の祝福が、民を豊かにするのです。主が遣わされた預言者ハガイのことば耳を傾けた総督のゼルバベルと大祭司ヨシュアと残りの民はみな、主の前で恐れました。その時、再び、ハガイが主のことばを語りました。「わたしは、あなたがたと共にいる」。こうして、総督ゼルバベルと祭司ヨシュアと民の残りの者すべてが、主にあって心を奮い立たせられて、主の宮に行き、宮の再建の仕事に着手しました。それは第6の月の24日のことでした。
きょうのところは、「あなたがたの現状をよく考えよ」というメッセージでした。もしかして、忙しさのとりこになり、一所懸命働くのですが、その結果はあまりよくないということはありませんか。そうなると、もっと働かねばならなくなります。悪循環です。まず、第1のものを第1にしていますか?と今日の聖句は語っています。私たちの生活と心の真ん中に、主をお迎えすることです。これが主の宮の再建です。十分の一を捧げることも、主のみことばを大切にする生活再建の第1歩です。静かな心で、主への信頼を告白する時間をもつことも、生活再建の第1歩です。そうするときに、健康の面、仕事の面、経済的な面での主の祝福が豊かに注がれます。
清宣教師