20節~26節の個所を取り上げます。この箇所は、イエスに敵対していた者が、イエスにことばの罠をかけた個所です。しかし、イエスの応答に敵対者さえも、驚嘆して黙ってしまい、身を退いた個所です。どういう状況下というと、律法学者や祭司長たちがイエスを逮捕しようとして、どうしても逮捕できないという状況の中で、この罠だけは絶対に逃れることができないという質問をしました。それは、義人を装う間者を送って、イエスを総督の支配と権威とに引き渡すための策略でした。義人を装った間者は、イエスに近づき、笑みを浮かべて、尊敬するような態度で、イエスに質問しました。「先生、わたしたちは、あなたの語り教えられることが正しく、また、あなたは分け隔てをなさらず、真理に基いて神の道を教えておられることを、承知しています。」と、こんなふうにイエスに挨拶したのです。それから、さりげなく、イエスに質問しました。「ところで、カイザルに貢を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか」。そのとき、イエスは間者たちの悪巧みを見破っておられました。どちらに転んでも、イエスを社会から葬り去ろうという魂胆を見抜いたのです。間者たちはローマ皇帝への納税の問題を取り上げたのです。当時、ユダヤの国は、ローマ帝国の支配下にありました。ローマ政府は、14歳から65歳までの男子ひとりあたり、1年間に1デナリ(1日分の労働の賃金に相当する)の税金でした。納税の金額として高額ということではありませんでした。しかし、ユダヤ人は律法にかなうか、かなわないかという宗教上の問題として取り上げました。そこで、サドカイ人やヘロデ党の者たちは、ローマ帝国の恩恵を受けており、納税には積極的な肯定的なグループでした。次に、消極的納税派は、パリサイ人とエッセネ派の人たちでした。次に、積極的反対派、熱心党と言われる人たちでした。イエス様が、ローマ帝国への納税に賛成すれば、ユダヤ人たちの反感を買い、ラビとしての評判を落とします。逆に、ローマ帝国への納税に反対すれば、すぐに、ローマ総督の手によって、ローマに反逆する者として捕縛されます。これは律法学者や祭司長たちによって周到に用意された罠でした。どちらに転んでもイエスの宣教活動をストップできるというものでした。これに対して、イエスは、まったく、予想外の返答を返されました。「デナリを見せなさい。」。それで、間者たちは、なにも疑うことなく、素直に、ローマ皇帝に納税するデナリ銀貨をイエスのもとに差し出しました。すると、イエス様は間者たちに質問しました。「そのデナリ銀貨にあるのは、だれの肖像、だれの銘なのか」。そこで、患者たちは、問われるままに、「カイザルのです」と答えました。これがどんな結論を引き出すのか、見当もつきませんでした。するとイエスは彼らに言われました。「それなら、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。まったく、想定外の回答でした。事実、皇帝の肖像が刻印されていること、皇帝の名前が刻印されているということは、ローマ皇帝の所有物であることを明確に示していました。イエスがいうように、ローマ皇帝のものなら、ローマ皇帝に返すべきなのです。返しても返さなくてもよいという性質のものではなく、当然、返さなければならないというものなのです。これを聞いた間者たちは、「民衆の前でイエスの言葉じりを捕えることができず、その答に驚嘆して、黙ってしまった。」と記されています。イエス様は、国家への納税については、これを当然のこととされました。クリスチャンも納税の義務があります。これを脱税するのは、義務に反することです。そして、もうひとつ、イエス様は言われました。「神のものは神に返しなさい」。神の肖像が刻印されているのは、神のかたちにかたどって創造された人間だけです(創世記1章27節)。私たちは、創造主のものとして、当然、私たち自身を神の栄光のために、お返しする義務があります。自分のものとして勝手にするなら、盗みになります。「わたしの名で呼ばれるすべての者は、わたしの栄光のために、わたしが創造し、これを形造り、これを造った。」(イザヤ書43章7節)。なお、明日は美田園北自治会のおはなかふぇがあり、そこで、奉仕することになっております。また、明後日は、埼玉県の熊谷の合同聖会での創造論宣教の奉仕があります。申し訳ありませんが、明日と明後日の1日1章をお休みさせていただきます。
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