いよいよ、イエス様のご最期が近づいています。エルサレムへの巡礼者の中に異邦人の改宗者がいました(12章20節)。彼らは、イエス様にお会いしたいと考えて、イエス様の弟子であるピリポにお願いしました。ピリポはアンデレに彼らの希望を伝え、アンデレとピリポは二人で、イエス様の所に行き、彼らの希望を伝えました。不思議なことに、この異邦人の来訪を受けて、イエス様は大切なことを明らかにされました。それは、「人の子が栄光を受けるその時が来ました」(23節)という宣言です。このことを契機として、ご自分の時(十字架でのご最期)が来たことを明らかにされたのです。ついに、人の子(メシヤ)の時が到来したのです。しかし、一般の聴衆にとっては、メシヤの到来とは、ローマの圧政からの解放を意味していました。イスラエル王国の回復の時を意味していました。しかし、神のご計画は違いました。人の子(メシヤ)が、全人類のために十字架の上で果たすべき贖罪の死と復活の時を意味していました。それはこの異邦人の改宗者に対する奥義の解き明かしとして示されました。異邦の民としてユダヤ人たちからは大きな宗教的な隔たりを感じていたギリシャ人の改宗者たちに、イエス様はご自分の死の意味を解き明かされたことに大きな意義があったのです。ヨハネの福音書の著者は、そのことを読者に知らせたかったと思われます。イエス様はご自分の十字架の死を、一粒の麦の種に例えて、解き明かされました。英語を見ると、「小麦」の種と書いてあります。一粒の小麦の種を、そのまま棚にでも置いておけば、それはいつまでも一粒のままです。しかし、その一粒の種を土の中に蒔くと(埋葬すると)、種は芽を出して(復活して)、やがて多くの実を結びます。イエス様は、この一粒の種のように、十字架でご自分のいのちを与えて、土の中に埋葬されます。しかし、復活して、多くの人を信仰に導き、多くの豊かな救いの実を結ぶのです。私はもとは作物学の研究者でしたから、種がいのちを失ったら、芽は出てこないから、イエス様の説明はおかしいと思っていました。しかし、それは種が種としてのかたちを失うことであり、種がいつまでも種であることに固執していたら、本来、その種に備えられている計画は台無しになります。ダイコンの種は、土に蒔かれて、種のかたちを失って初めて、成長して、あの立派な大根になるのです。カボチャの種も、土に蒔かれて、種のかたちを失って初めて、あの見事な南瓜の実を結ぶのです。同じように、イエス様には使命がありました。イエス様がこの世に来られたのも、そのいのちを失うことを通して、神の計画が成就して、多くの救いの実を結ぶことが出来るのです。その意味を説明されたあと、イエス様の心のうちに、大きな動揺が起こりました。「今わたしの心は騒いでいる。何と言おうか。『父よ。この時からわたしをお救い下さい』と言おうか。いや。このためにこそ、わたしはこの時に至ったのです。父よ。御名の栄光を現してください。」」(12章27節、28節)。ヨハネの福音書には、ゲッセマネの園でのイエス様の祈りが割愛されています。著者ヨハネは、イエス様の苦悩をこの場面で明らかにしています。ここで、イエス様は、異邦人の改宗者に対して、ご自分の十字架での贖罪の使命を明らかにされることにより、その時がすでに間近に迫っていることを覚えて、霊的な戦いがあったと思われます。そして、遂に、その戦いに勝利されて、「父よ。御名の栄光を現してください」とい願いになったのです。そして、父なる神は、御子の願いに対して、御声をもって応えて下さいました(28節)。イエス様は、私たちを永遠の滅びから救い出すことを願って、苦しみを耐え忍ばれました。イエス様の御名をほめたたえます。
清宣教師
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