父イサクは息子のヤコブを呼び寄せ、彼を祝福しました(1節)。イサクは、偏狭な人ではありませんでした。自分の判断を押し通す人ではありませんでした。イサクは、長男のエサウを愛していましたが、その長男を差し置いて、自分を騙して祝福を奪ったヤコブに対して、いまは、穏やかな態度で接しています。イサクは、怒りが静まった時、エサウとヤコブの出生の時の神様の恵みと宣告(25章23節)を思い起こしたのではないでしょうか。自分の考えを捨てて、現実を受けいれ、さらに、自分が行動すべきことを主に祈り求めたに違いありません。そして、決断しました。イサクは、エサウではなく、ヤコブを呼び寄せたのです。そして、ヤコブを祝福しました。今回の行動は、騙されてしたことではなく、それが主のみこころであると確信しての行動でした。主は素晴らしいお方です。父親のイサクを誤りの中に放置されずに、正しい行動をするチャンスを与えてくださいました。改めて、父親イサクはヤコブを呼び寄せて祝福して、ヤコブを送り出すことが出来ました。ヤコブにとっても、自分が騙した父親に受け入れられての再出発でした。主は素晴らしいお方です。
さて、一方のエサウは、やはり、怒りが静まって、少し考える機会が与えられましたが、自分なりの行動をとることになりました。カナンの娘を妻としたことが、どうやら、父イサクの気に入らないようだと、気づきました(8節)。そこで、今度は、アブラハムの息子のイシュマエルのところに行って、その娘を妻としてめとりました。エサウの考えは、表面的で、自分の内面を変えることはしないで、ただ、外面的に繕うような行動でした。主の前に祈りつつ考えることをしなければ、その解決の方法は、外面的な繕いに終わってしまいます。結局、自分自身を変えることにはなりませんでした。エサウは自分を裏切ったヤコブを恨むだけで、自分自身が家督の権利を軽んじていたことに対する反省には至りませんでした。ですから、主からの祝福を受けることは出来ませんでした。
他方、ヤコブは、自分自身が蒔いた種を刈り取ることになりますが、その第1番目の刈取りは、自分の両親や家族を離れなければならないということでした。母の実家であるカランを目指して、一人旅でした。行き交う旅人もなく、日が暮れました。孤独だったと思います。石を枕にして横になりました。そこで、ヤコブは夢を見ました。主はなんと素晴らしいお方でしょう。一人ぼっちのヤコブに夢を見せました。それは、天から地に向けて立てられた梯子であり、そこを栄光に輝く天使たちが上り下りしている夢でした。そして、主がその傍らに立っておられました。「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。・・・」と語られました。「見よ。わたしはあなたとともにあり、あなたがどこに行っても、あなたを守り、あなたをこの地に連れ戻そう。わたしは、あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない。」と語られました。これは驚くべき主の恵みでした。一人ぼっちの逃亡の旅、それも自分が蒔いた罪の結果でした。それにもかかわらず、主が、一方的に恵みを示し、約束を与えてくださいました。
ヤコブは眠りからさめて、ここは神の家、神の門にほかならないと信仰の告白をして、石の柱を立てて油を注ぎ、記念としました。そして、ヤコブは、主に対して、「主が賜るものの十分の一を必ず捧げます」という誓願を立てました。ヤコブは自分の犯した罪の大きさに打ちのめされるようにして、自分の故郷、自分の家を追われるようにしての旅立ちでした。そして、闇夜の中を迎えました。孤独の中で途方に暮れるヤコブでしたが、なんと、主が夢をもって、素晴らしい光景を見せて下さり、大きな大きな恵みの約束をしてくださいました。私達の主は、私たちが失敗をしても、決して見放すことなく、共にいてくださる素晴らしい主です。主は決して見放されないお方です。主が私達を選んでくださったのですから(ヨハネの福音書、15章16節参照)。
きょう、主によって選ばれた者として、悔い改めるべきものがあれば、悔い改めて、再出発しましょう。もはや、一人旅ではなく、主が共にいてくださいます。
清宣教師
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