さて、19章ですが、エジプトを出て3か月目でした。イスラエルの民は、シナイ山のふもとに宿営しました。このシナイ山がどこであったか、という点についてですが、いくつかの説がありますが、伝統的にシナイ半島の南部にあるジェベル・ムーサ(アラビヤ語で「モーセの山」という意味)であろうと言われています。その山の前には、長さが4キロメートルで、幅が600メートルから1000メートルに達する広い谷間があります。この谷間で、イスラエルの民が、長期間、宿営したのではないかと考えられています。この山は標高2293メートルであり、非常に高い山です。このシナイ山で、モーセは召命を受けました(3章1節~12節参照)。そのとき、神は、「あなたが民をエジプトから導き出すとき、あなたがたは、この山で神に仕えなければならない」(3章12節)と言われました。そのことばが実現する時が来たのです。
さて、この19章から24章にかけての6章は、シナイ山における「契約の批准」について記されています。そこで、19章から24章までの概要を示しておきます。
1.神の側からの契約締結の提案(19章3節-6節)と民の同意(19章7,8、節)。
2.契約を結ぶための民の準備について。①民の聖別(19章、10,14,15節)、②山の聖別(19章12,13節)。
3.契約に関する3つの事項。①契約の内容(20章2節―17節、20章22節―23章19節)、②警告と勧告(23章20節―33節)、③契約の内容に対する同意(24章3節)。
4.契約の批准(24章4節―8節)。
5.契約締結後の交わり(24章9節-11節)。
このような流れとなっています。
さて、主は、「あなたがたを鷲の翼に載せ、わたしのもとに連れてきた」(19章4節)と言われました。エジプトで10の災禍の裁きを行い、紅海で奇蹟を行われ、荒野ではマナを与え、水を与え、主はイスラエルの民を、鷲がその雛を翼の上に置いて運ぶように、このシナイの山のふもとまで連れてきたのです。このシナイ山まで主が導かれた理由のひとつは、イスラエルの民と契約を結ぶ為でした(19章5節)。もし、契約を守るなら、イスラエルの民は3つの特権にあずかることが出来るというのです。主は「あなたがたはわたしにとって祭司の王国、聖なる国民となる」と宣言されました(19章6節)。第1に、すべての国々の中にあって「神の宝」の民となるのです。第2に、すべての国々にのために神と人との間にあって執り成しの働きをする「祭司の王国」となるのです。第3に、契約の血によってきよめられた「聖なる国民」となるのです。つまり、主は、イスラエルをご自分の民とするという宣言です。
イスラエルの民たちは、それに同意しました(19章8節)。そこで、主は、ご自分が聖なるお方であることを民全体にお示しになります。そこで、民たちは神に会う備えをする必要が在りました。準備のため3日間、民たちは、自分たちを聖別しました。着物を洗い、シナイ山に近づくことをせず、性行為を慎みました。
昨日までは、穏やかで、美しいシナイ山でした。ところが、3日目、シナイの山頂では雷と稲妻と密雲があり、角笛が高く鳴り響き、全山が鳴動し、煙が立ち上り、天から主が火の中にあって山頂に降りて来られました(19章16節~18節)。これを見た民たちはみな、もの凄い、恐ろしさで震え上がりました。
一方、山の上で、モーセと語られていた主は、モーセに対して、アロンと共に、主のもとに来るように命じられました。そこで、モーセは山を下りて民たちに主の警告のことばを告げました。
きょう、私たちも、神の宝であり、未信者のための執り成しをする祭司、聖別された民であることを覚えましょう。主がともにいてくださいます。
清宣教師