13章では、いよいよ、イスラエルの民が、主が与えて下さる約束の地に入るための、具体的な準備に入ることになりました。次のように記されています。主はモーセに告げて仰せられました。「人々を遣わして、わたしがイスラエル人に与えようとしているカナンの地を探らせよ。父祖の部族ごとにひとりずつ、みな、その族長を遣わさなければならない」。つまり、イスラエルの12部族の中から、それぞれ部族の代表1名を選んで、約束の地であるカナンの地を偵察するようにとの命令でした。そこで、モーセは、以下の人たちを選び、偵察に遣わしました。ルベン部族からはシャムア。シメオン部族からはシャファテ。ユダ部族からはカレブ。イッサカル部族からはイグアル。エフライム部族からはホセア。ベニヤミン部族からはパルティ。ゼブルン部族からはガディエル。マナセ部族からはガディ。ダン部族からはアミエル。アシェル部族からはセトル。ナフタリ部族からはナフビ。ガド部族からはゲウエル。パランの荒野から彼らを遣わしました(3節参照)。
彼らの調査の目的は、約束の地、すなわち、これから占領しようとしている地に住んでいる住民が、強いか弱いか、多いか少ないか、その住居は良いか悪いか、城壁のある町か、そうでないか、土壌について、肥えているか痩せているか、木があるかないか、などというものでした。時期的には初ぶどうの熟するする頃なので現在の暦では、7月か8月であったと考えられます。調査隊は、カナンの地の南にあるツィンの荒野から、北はヘルモン山の北にあるレボ・ハマテまでの広い地域を調査しました。まず南のネゲブから最初の町であるヘブロンに入りました。そこには背の高いアナクの子孫が住んでいました。それから、帰り道、エシュコルの谷で葡萄の一房を付けた枝を切り取り、二人が棒で担いで持ち帰りました。さらに、いくらかのザクロやイチジクも持ち帰りました。そして、カデシュ・バルネアにいるモーセや全会衆の所に戻ってきました(26節参照)。
調査隊の一行は、その地が乳と蜜の流れる地(その土地が肥沃であることを意味する表現)ではあるが、そこに住む民は力強く、城壁のある町が多く、巨人であるアナクの子孫やアマレク人やエブス人、エモリ人が住んでいるという報告をしました。そのとき、ユダ部族の族長のカレブが、「さあ、ぜひ、上って行ってそこを占領しよう。必ずそれが出来るから」と民たちに語りました。ところが、それを遮るかのように、他の10部族の族長たちが、「私たちはあの民の所に攻め上れない。あの民たちは私たちより強いから。」と反論しました。さらに、「私たちが行き巡って探った地は、その住民を食い尽くす地だ。私たちがそこで見た民はみな、背の高い者たちだ。そこで、私たちはネフィリム人、ネフィリム人のアナク人を見た。私たちには自分がいなごのように見えたし、彼らにもそう見えたことだろう。」と会衆に告げました。これを聞いた全会衆は、次の章の14章1節に記されていますが、大声をあげて叫び、民はその夜、泣き明かしたのです。全会衆は、10部族の族長の説明を聞いて、自分たちには無理であるという結論を出したのです。詳しくは明日の14章で明らかになりますが、同じ調査団に加わっていたヌンの子ホセアとエフネの子カレブの二人は、全く、異なる見解を持っていました。「主が約束されたのだから、必ず、そこを占領できる」という見解でした。
同じことを見ても、その結論はまったく異なることがあるということです。二人の靴のセールスマンの例え話が思い出されます。アフリカに市場調査に行った靴のセールスマンは、「この土地の人は誰も靴を履いていません。靴を売るチャンスは皆無です」と、本国に報告したそうです。もう一人の靴のセールスマンは「この土地の人は誰も靴を履いていません。靴を売るチャンスは無限大です、すぐにあるだけの靴を送って下さい」と本国に報告したという話です。
同じ自然界を見ても、進化論者は、すべては偶然の産物であると結論します。しかし、創造論者は、すべては無限の叡智と愛をもつ創造主の作品であると結論します。事実も大事ですが、それをどう見るか、どう解釈するか、それがもっと重要な意味をもつことがわかります。
きょう、主よ。正しい判断力を与えて下さい。私たちが信仰の目をもって物事を見ることができるようにして下さい。聖書のみことばに立つ見方をすることができますように、天の御国の住民にふさわしい判断をすることができますように、御導き下さい。
清宣教師