「あなたの神、主が、この四十年の間、荒野であなたを歩ませられた全行程を覚えていなければならない。それは、あなたを苦しめて、あなたを試み、あなたがその命令を守るかどうか、あなたの心のうちにあるものを知るためであった。それで主は、あなたを苦しめ、飢えさせて、あなたも知らず、あなたの先祖たちも知らなかったマナを食べさせられた。それは、人はパンだけで生きるのではない、人は主の口から出るすべてのもので生きる、ということを、あなたにわからせるためであった。この四十年の間、あなたの着物はすり切れず、あなたの足は、はれなかった。あなたは、人がその子を訓練するように、あなたの神、主があなたを訓練されることを、知らなければならない。」と述べられています(2節~5節)。
イスラエルの民は、40年間の荒野での生活を通して、マナによって養われるという経験をしました。それは、「人はパンだけで生きるのではない、人は主の口から出るすべてのもので生きる」ということを分らせるためであったと記されています(8章3節)。こうして、イスラエルの民は、40年の間、主からの訓練を受けました(8章5節)。そして、気を付けなければならないのは、約束の地に入り、主からの祝福によって、生活が豊かになり、財産も増し加わってきたときのことであると、主は言われました。「あなたの神、主が、あなたを良い地に導き入れようとしておられるからである。そこは、水の流れと泉があり、谷間と山を流れ出た深い淵のある地、小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろの地、オリーブ油と蜜の地。そこは、あなたが十分に食物を食べ、何一つ足りないもののない地、その地の石は鉄であり、その山々からは青銅を掘り出すことのできる地である。」(7節~9節)。こうして、民たちが満ち足りる時、大事なことは、主をほめたたえることです(10節)。
そこで、主は注意されます。「あなたが食べて満ち足り、りっぱな家を建てて住み、あなたの牛や羊の群れがふえ、金銀が増し、あなたの所有物がみな増し加わり、あなたの心が高ぶり、あなたの神、主を忘れる、そういうことがないように。」(12節~14節)。経済的にも、健康の面でも、すべてが順調に満ち足りるようになったとき、「この私の力、私の手の力が、この富を築き上げたのだ」と言いたい誘惑に駆られることです(17節)。主が富を築き上げる力を与えたにもかかわらず、主に栄光を帰さず、自分の能力によるものだと自分を誇ってしまうのです。これは、とても、大きな誘惑です。私たち人間は、私が努力したからという思いが強いものです。とくに、その努力が大きければ、正当に評価して欲しいという思いが強いものです。そこにサタンのつけいる隙が生じます。私たちは、職場、あるいは家庭、あるいは教会で、自分の働きを正当に評価して欲しいという願いがあります。しかし、神様ご自身が、ご自分がなさったことについて、私たちに正当に評価して欲しいと願っているとは、まったく、気が付かないのです。
自分の働きということに、固執すると、思わぬ大失敗をしてしまいます。人間は自分自身には甘く、他の人に対しては厳しい傾向が誰にでもあるからです。「あなたの心が高ぶり、あなたの神、主を忘れる、そういうことがないように」(8章14節)。くれぐれも、自分の働きという点に固執しないで、つまり、高ぶらないで、主がなしてくださったことに、固執したいですね。そうすれば、いつのまにか、主を忘れてしまう危険な罠を避けることが出来ます。主なる神への忘恩こそ、最も大きな罪のひとつです。「あなたの神、主を心に据えなさい。主があなたに富を築き上げる力を与えられるのは、あなたの先祖たちに誓った契約を今日のとおりに果たされるためである」。
清宣教師
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