1節~9節:冒頭、「これは、モアブの地で、主がモーセに命じて、イスラエル人と結ばせた契約のことばである。ホレブで彼らと結ばれた契約とは別である。」と記されています。これは、とは1章から28章までの内容を指しています。そして、2節~8節において、1章から28章までの経過を短く要約しています。ところで、この契約はホレブ(シナイの山)で結ばれた契約とは別である、と記されています。この意味は、契約の更新です。以前、ホレブの山で、主はイスラエルの民と契約を結ばれました。しかし、いま、ホレブでの契約から約40年の歳月が過ぎました。40年の荒野での生活の中で、親たちは死に絶え、子供たちが成長して、いま、約束の地に入ろうとしています。そういうわけで、新たな契約の更新が必要となったのです。中身が変わったわけではありません。振り返ってみますと、アダムとの契約が、ノアとの契約、さらに、アブラハムとの契約へと更新されて、それがホレブでの契約、そして、きょうのモアブでの契約の更新となるというように、世代が変われば、新しく契約の更新がなされるのです。しかし、その中身の精神は一貫して変わりません。
10節~15節:この契約は、アブラハム、イサク、ヤコブと結んだ契約であり、きょう、主の前にある部族のかしら、長老たち、つかさたち、イスラエルのすべての人、こどもたち、妻たち、在留異国人、たきぎを割る者、水を汲む者など、あらゆる階層の人たちと結ぶものであり、さらに、この契約は、ここにはいない次の世代のものたちと結ぶものであると、宣言しています。イスラエルの父祖たちと結んだ契約が、子々孫々にまで、継続して、更新されていくことが主のみこころなのです。
16節~28節:ここで、再度、偶像礼拝に陥ることがないように警告のことばが語られています。その根っこは、「潤ったものも渇いたものもひとしく滅びるのであれば、私は自分のかたくなな心のままに歩いても、私には平和がある。」と自分の考えを土台として生きることにあります(19節)。このような考えがはびこり、まわりの国々の異教の偶像礼拝が入り込むとき、契約のとおり、契約違反の呪いが、さまざまな災いとして、イスラエルの民を襲うことになります。それは、皮肉なことに、偶像礼拝をしている周囲の国々の人々の目にも明らかなこととなり、「彼らはエジプトの奴隷の地から救い出し、契約を結んだ父祖の神を捨てて、他の神々を拝んだから、いま、主の怒りが彼らに望んでいるのだ」と言われるのです。神の民として、主のみことばに従い、祝福の中を歩む姿こそ、真の証しの民の姿でした。しかし、それが、主のみことばに背き、主の呪いの中で徹底的に裁きを受ける反面教師としての姿をさらすという証しとなるというのです。主の契約の民となるということは、祝福も、災いも受けることを意味します。そうして、主は真実なるお方であることが示されるのです。
29節:「隠されていることは、私たちの神、主のものである。」と記されています。私たちのために必要なことは、明確にみことばに示されているので、主に従うことが求められています。しかし、一方で、隠されているものもあるというのです。それは主なる神に属するものです。あの偉大な科学者であるアイザック・ニュートンは、自分は真理の大海を前にして、その浜辺で砂を手にして遊んでいる幼児に過ぎないものである、と述べたと言われています。つまり、ニュートンは、自分が発見した科学の知見は、真理の大海のごく一部に過ぎないと自覚していたのです。私たちも、神のことばの真理を知っていると言っても、それは神ご自身の真理の万分の1にしか過ぎないのです。高ぶってはならないのです。4節に記されているように、私たちには、事実を事実として認めるだけでなく、「悟る心と、見る目と、聞く耳」が必要なのです。
きょう、世の中の情報に惑わされることなく、真理を悟る心と、真理を見分ける目と、真理を聞きわける耳を与えて下さい。私の内に住まわれる聖霊様が、私たちの霊と心に語って下さい。私たちの心を一新して下さい。
清宣教師
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