イスラエルが主からの相続地として割り当てられたのは、ヨルダン川から西の方の地中海沿岸まででした。ここには7つの異邦の民が住んでおりました。地理的には、大きく3つの地域に分けられます。山地(エルサレムなどが含まれる)、低地、地中海沿岸部の3つです。これらの地域に住んでいるヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の王たちが集まり、ひとつになって、イスラエルと戦おうとして準備をしていました。そのような状況の中で、アイの南西約10キロメートルに位置しているギブオンの町の人たちが、イスラエルの次の攻撃目標は自分たちに違いないという危機感から、住民たちが集まって、知恵を絞りました。そして、綿密な計略を立てて、準備をして、町の代表者をギルガルの陣営のヨシュアのところに遣わしました。それは、自分たちが遠い国のものであると、ヨシュアたちに信じさせて、自分たちとイスラエルの間で平和の契約を締結することでした。これは、まさに、ギブオンの住民にとっては、自分たちの生き残りのための唯一の方法でした。
一方、ヨシュアと族長たちは、疑いをもちましたが、主の指示を仰ぐことをしないで自分たちで判断し、遠い国の者たちであると信じて、彼らと平和の契約を結んでしまいました(14節)。ギブオンの人たちが仕組んだ、ぼろぼろになったパン、破れた皮袋、古びた服装やはきものなどの物的証拠をみて、ギブオンの人たちが遠い国の人たちであるとの偽りの証言を信じてしまったのです。しかし、ヨシュアと族長たちは、ギブオンの人たちに騙されたとはいえ、主の前に契約したことを実行しました。つまり、ギブオンの人たちが自分たちを欺いたことを糾弾しましたが、彼らを殺すことをせずに、生かす方法を探りました。そして、彼らをイスラエルの奴隷として、神の家のための薪を割る仕事や水を汲む仕事を与えました。
私たちも、ある出来事が起こって判断を求められた場合、自分たちの判断の範囲内にあると考えて、お祈りすることをせずに、自分で判断してしまうことがあります。今日の出来事は、あくまでも慎重に、神様にお祈りして判断すべきことを教えられます。ただ、一方では、ギブオンの住民たちが、必死で考え出した窮余の一策でしたので、神様の憐みを受けたとも考えられます。しかもギブオンの町は、10章2節を見ると、大きな町でした。しかも、みな勇士たちであったと記されています。大きな町であり、みな勇士であったにもかかわらず、自分たちの弱さを認めて降伏する交渉にあたったことは、やはり、神の前で憐みを受けるにふさわしかったのではないか、と思われます。
今日の個所を振り返ると、ヨシュアや指導者たちは主に対して指示を仰ぐべきでした。そういえば、創世記3章で、エバがサタンの誘惑を受けた時、エバはアダムに指示を仰ぐべきでした。私たちもまた、同じような失敗をしてしまうことがあります。それは好意から出る場合が多いと思います。上司を煩わせたくないとか、主人を煩わせたくないとか、牧師を煩わせたくない、という理由です。そのほかに、相談する手間を省くという自分中心の動機もあります。あるいは、反対意見を言われたらどうしようという考えから、相談しないでしまうということがあります。しかし、秩序として、指示を仰ぐことは大切です。それを省くことが習慣になってしまうと、大きなトラブルに発展してしまうことが多いのです。
一方で、今日の個所を読んで、ホッとしたことも事実です。神様の憐みを覚えます。必死で、生きることを求める人たちの願いが、神様の御計画の隙間に入れられて許された感覚です。新約聖書では、異邦人のカナンの女が、「子犬でも、主人の食卓からこぼれるパン屑にあずかります」と告白した信仰に似たものであると感じます。ギブオンの人たちのいのちは救われました(27節)。神様の御計画は、絶対に変わらない不変のものであることを知っていますが、同時に、そこには人間の絶対不変という概念とは異なり、無限の叡智を持っておられるお方であるがゆえに、絶対不変の中にも無限の可能性や柔軟性があるように感じます。やはり、主はすべてにまさって偉大な主です。私たちの人生のすべてを委ねることができるお方です。全人類を正しく裁くことが出来る唯一のお方です。きょうも、主が共にいてくださいます。この日を感謝します。
清宣教師
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