さて、北イスラエル王国のヤロブアム王の子であるアビヤが重い病気にかかりました。その子のことを心配したヤロブアムは、妻に対して、変装して主の預言者に会って、こどもが助かるかどうか、尋ねてくるように命じました。妻は、夫に命じられた通りに、自分の身元が知られないように、注意深く変装して、預言者アヒアの家を訪ねました。じつは、預言者アヒアは、すでに年を取っており、視力を失っていたので、変装する必要はなかったようです。一方、主は預言者アヒアに対して、ヤロブアムの妻が、子どものことで訪ねてくることを、あらかじめ、告げていました。ですから、アヒアは、ヤロブアムの妻が入って来るなり、ヤロブアムの妻であることを指摘して、主からのことばを告げました。「わたしは民の中からあなたを高くあげ、わたしの民イスラエルを治める君主とし、ダビデの家から王国を引き裂いてあなたに与えた。ところが、あなたはこれまでのだれよりも悪いことをし、行って、自分のためにほかの神々と、鋳物の像を造り、わたしの怒りを引き起こし、わたしをあなたのうしろに捨て去った。だから、見よ、わたしはヤロブアムの家にわざわいをもたらす。」という、ヤロブアムの家を断ち滅ぼすという、主の宣告でした。そして、その子に関しては、ヤロブアムの妻が町に足を入れた瞬間に、死ぬという預言がなされました。ただし、その子は、ヤロブアムの家族の中で、唯一、神のみこころにかなっていたので、きちんと、墓に葬られる恵みにあずかることが約束されました。ヤロブアムの妻が、家の敷居に着いたときに、その子は死にました。しかし、預言の通りに、人々はその子を葬り、全イスラエルが彼のためにいたみ悲しみました。主が預言者アヒヤによって語られたことばのとおりでした。ヤロブアムが王であった期間は22年間でした。その子ナダブが代わって王となりました。
他方、南ユダ王国では、ソロモンの子レハブアムが王になっていました。レハブアムは、エルサレムで十七年間、王でした。その母の名はナアマといい、アモン人でした。その母の影響と推測されますが、ユダの人々は彼らの先祖たちもしなかったような偶像礼拝の罪を犯しました。高い丘の上や青木の下、高き所など、いたるところに石の柱やアシェラ像を立てました。また、神殿男娼もいました。彼らは、かつて、主が、カナンの地から追い払われた異邦の民の、すべての忌みきらうべきならわしをまねて行っていたのでした。そのため、主は、南ユダ王国をも裁かれました。具体的には、レハブアム王の治世の5年目に、エジプトの王シシャクがエルサレムに攻め上って来て、宮の財宝、王宮の財宝を奪い取り、ソロモンが作った金の盾も全部奪い取っていきました。それで、レハブアム王は、その代わりに青銅の盾を作り、 王が宮に入るたびごとに、近衛兵が、これを運んで行き、また、これを近衛兵の控え室に運び帰ったと記されています。そして、南王国のレハブアムと北イスラエル王国のヤロブアムとの間には、いつまでも戦いがありました。南王国のレハブアム王が死ぬと、その子のアビヤムが代わって王となりました。
今日の個所から教えられることは、ひとつは、主を騙すことはできないということです。じつは、アダムは人類史上最高の知恵の持ち主でしたが、だからこそなのか、それにもかかわらずか、神の前に、自分たちの裸の恥をイチジクの木の葉で覆うことによって隠すことが出来ると考えました。それ以来、何度も何度も、人は同じ過ちを犯してきました。ヤロブアムも、神の前に、自分の悪行を隠すことが出来ると考えたようです。でも、全知全能なる神を騙すことはできないことです。本当の知恵は、初めから、神の前に、自分の罪を隠さないことです。そうするなら、そこに神様からの赦しがあり、神様が用意されている幸いな計画にあずかることが出来るのです。南ユダ王国のレハブアムも同様でした。主を騙すことはできませんでした。それでも、レハブアムは、純金の盾の代わりに青銅の盾をもって、体裁を繕いました。純金と青銅ではまったく異なるものです。主の前に正直に悔い改めるなら、主が純金を持って贖って下さったに違いありません。私たちクリスチャンは、主の前に、繕う必要はないのです。すでに、キリストが贖って下さったのです。主に愛されている存在なのです。
清宣教師
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