さて、ソロモンは、父ダビデの遺志を継ぎ、壮大な神の宮を建てる国家的な大事業に着手しました。その場所は父ダビデに主が現れて下さったモリヤの山上でした。エブス人オルナンの打ち場でした(3章1節)。ところで、このモリヤ山上という場所は、ダビデの時代から約千年前のことでしたが、アブラハムが主なる神の命に従い、その子イサクを全焼のいけにえとして捧げようとした同じ場所でした。創世記22章に詳しく記載されています。そして、アブラハムがその子イサクを捧げようとした瞬間でしたが、主なる神様が介入して下さり、一頭の雄羊を示して下さり、アブラハムは、その子イサクではなく、一頭の雄羊を全焼のいけにえとして捧げた場所でした(創世記22章2節、8節、10節~14節参照)。その場所に、ソロモンの神殿が建てられるのです。
神殿の建築材料は、当時最高の品質であったもみの木材でした。さらに、良質の金をかぶせ、さらに、宝石の装飾を施し、最高の彫刻などで美しく仕上げました。これらの建設には7年を要しましたので、丁寧に仕上げられていったことが分ります。奥の至聖所には、大きなケルビムが向かい合って、契約の箱を守る位置に立てられました。仕切りの幕も、当時最高の刺繍で作られた幕でした。何もかも、超一流の芸術作品でした。なお、本堂の前にあった2本の柱(3章17節)ですが、一本は右側(右側とは至聖所から見て右側、つまり南側)にあり、「ヤキン(彼は設立するという意味)」、もう一本は左側(北側)にあり、「ボアズ(力をもってという意味)」と名付けられました。
さて、2節に、「彼が建設にとりかかったのは、その治世の第4年、第2の月の2日であった」と記されています。つまり、ソロモン王は、神殿建設に着手するまでの3年間を、準備期間として設けたということです。建設の期間が7年間、その準備期間が3年間ということです。ソロモンの知恵は、時を待つという忍耐を備えており、もろもろの準備をしてから、実際の建設に取り掛かるという、まさに、私たちの見本となるものでした。私たちも、ビジョンが与えられると、すぐに、あせって着手する傾向がありますが、準備の期間が大事ですね。「桃・栗3年、柿8年」、果樹もまた、実をつけるために、まず自分の体作りのために準備をします。そうでないと、早く実をつけたために、体全体が枯れてしまうことになるからです。私たちも、あせらずに、準備の期間を持てるように祈りましょう。大きなことを成すには、それだけ、準備が必要です。大木となるには、地面の下に、目に見えない大きな根が必要です。
清宣教師
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