この4篇は、3篇の出来事から、数日後のことのようです。自分の息子であるアブシャロムの反乱は、ダビデを反省に導くとともに、謀反を企てた者たちへの反省と悔い改めを促す内容となっています。
1節では、「私が呼ぶとき、答えてください」と祈っています。その中には自分の過去の反省と苦悩が滲み出ており、それが逆に、自分の信仰の転機を求める、心の隙間というか、ダビデ自身の余裕となっているようです。それで、もう一度、「私を憐み、私の祈りを聞いて下さい」という一歩、前進した祈りとなっています。2節の「人の子」とは、アブシャロムに組する反乱軍の指導者たちのことです。「むなしいもの」「まやかしもの」とは、アブシャロムの野心によって、心が盗まれたことを意味するようです。アブシャロムは人々の仲間であるかのように、抱き合ったり、意見を聴いてあげました。それはただ、自分の仲間を増やすための戦略でした。しかし、彼らはそのまやかしに気付かなかったのです(サムエル記、第2、15章4節~6節参照)。そして、真の王であるダビデに対して、疑いを持つように仕向ける策略に引っかかってしまったのです。まやかしとは、アブシャロムに対する期待です。3節の「聖徒たち」とは神への忠誠を尽くす人たちのことです。主は真実を知っておられますから、ご自分を信頼する者たちを特別に扱われます。ここで、ダビデは、そのことを覚えて、「私が呼ぶとき、主は聞いて下さる」という恵みに立って、確信へと導かれました。4節では、反逆者に対して、また、自分に対しての戒めのことばです。5節は、反逆者に対する勧めです。反逆者であっても、主に立ち返るなら、主の前に受け入れられる余地があるのです。ダビデは、広い心で、執り成しの祈りをしています。
6節の「誰かわれわれに良い目を見せてくれないか」は、アブシャロムの反乱で、誰が本当の指導者なのか、不安と動揺の中での民衆の叫びです。それに続けて、ダビデが「主よ。どうか、あなたの御顔の光を、私たちの上に照らしてください。」と真の民の指導者として、主に民のために祈りをささげています。
7節、8節は、主が祈りを聞いて下さったという内的な確信が与えられたので、喜びと平安を与えられた主に感謝しています。「平安のうちに」とは、神の保護の中にある状態を確信していることばです。このように、非常な混乱と不安の中にも、主に対する確信のゆえに、平安を与えられて1日を閉じる、この「夕べの祈り」の詩篇は、私たちに対する励ましの詩篇でもあります。
今日の聖書箇所から教えられることは、執り成しの祈りです。私たちはいま、平和の中に生活していますが、世界の各地で内乱のため、多くの難民の人たちが、故郷や家を追われて、大変な困難の中にあります。難民の人たちの国の戦乱が集結して、故郷に帰る時が早められますように、共に執り成しの祈りを捧げましょう。
清宣教師
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