詩篇第3篇は、「朝の祈り」と呼ばれています。危機的な夜を過ごし、一夜明けて、その日、感謝の歌を捧げたのです。
この時の状況は、サムエル記第2、15章~17章に記されていますが、ダビデ王が、息子のアブシャロムの謀反により、危機一髪、エルサレムを脱出して、いま、野に野営しているという状況でした。ある意味、いのちが危機にさらされているだけでなく、自分のいのちを狙うのが、自分の息子である、という状況ですから、とても深刻な事態でした。しかも、謀反人のアブシャロムの陣営に加わる者が増えているという状況でした。しかし、その中にあってダビデは神に信頼して、自分の身を床に横たえて眠ることが出来たのです。普通の人なら、一睡も出来ないはずです。
1節と2節では、敵に組する者たちが増えている様子が見てとれます。しかも、彼らの叫びが聞こえてくるのです。「もはやダビデに救いはない」、との声です。3節と4節は、そのような状況の中で、ダビデは神こそ、助けであり、守りであると告白するのです。そして、主が必ず答えて下さると信仰の告白をするのです。5節と6節は、これほどの不安の中でも、ダビデは安らかな眠りを与えられたと告白します。主の御手の守りを実際に感じているのでしょう。敵の幾万もの兵士たちの事など、恐れてはいないのです。確かに、敵の勢力は、数万人の規模であったのです。しかし、ダビデは、主の守りの中で、実際に平安のうちに、ぐっすり眠れたという経験をすることができたのです。主は生きておられます。7節と8節で、主が、敵の勢力を打ち破り、救いと勝利を与えて下さるように、主に願っています。同時に、敵を含めたイスラエルの民の上に、主の祝福があるように、お祈りしています。ダビデは、主に立てられた、この地上での王として、イスラエルのすべての民の王としての自覚を持っていました。たとい、一時的に敵対している民であっても、イスラエルの民であるのです。ひとつには、自分の息子の反乱ということで国の平和が破られたことに就いて、自分の責任を感じていたことはあると思います。ただ、それだけでなく、主のみこころを知るダビデは、イスラエルの民全体の祝福を主に求めたのです。
今日の聖書箇所から教えられることは、主への個人的な信頼関係をもつことです。そうすれば、非常事態の中でも、冷静に、平安のうちに、過ごすことが出来るのです。また、私たちが個人主義に陥ることなく、教会全体のために、執り成し祈る責任です。主なる神の願いは、ひとりひとりの祝福であり、同時に、ひとりも祝福に欠けることなく、主に祝福を受けることなのです。
清宣教師
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