表題に、「ダビデのミクタム」と記されていますが、ミクタムの意味は不明です。一説によると、黄金あるいは宝石という意味ではないかと言われており、教会にも、「ミクタム」というプレイズ曲集があります。さて、1節~2節は、主こそ、幸いの根源であるという喜び、3節~4節は、信仰を同じくする者との交わりの喜び、5節~7節は、主の約束のことばによる喜び、8節~11節は、祈りと服従からくる喜びを歌っています。
1節でダビデは「神よ。私をお守りください。私は、あなたに身を避けます。」と叫んでいます。ダビデは大変、危険な状況の中に置かれていたことが分ります。そして、幸いの源は主にあることを告白しています。3節の「地にある」ということばは、信仰の仲間のことを意識していることばです。「聖徒」とは、主が聖であるから、みずからを聖とするものたちです。主のことばに従い、主のために自分自身を聖別するものたちです。4節では、不信仰者の仲間には加わらない、という決意、決して偶像礼拝には加担しない、という決意が記されています。そして、5節において、「主は、私へのゆずりの地所、また私への杯です。」と賛美しています。「ゆずりの地所」とは、主がイスラエルの民に相続地として与えられた地所のことですが、レビ人たちには、この地上での相続地は与えられませんでした。その代わりに、主ご自身が、レビ人たちの相続分であると言われました。「杯」とは、人生という意味もあります。つまり、ここでは、主こそ、ダビデにとっての相続分であり、受けるべき人生そのものである、と賛美しています。6節では、「測り綱」という表現が出てきます。測り綱は、土地を相続する時に測量するために用いられたものです。測り綱は間違いなく正確に、自分の望む所に落ちました。そここそ、主からの素晴らしい相続地です。 主は私たちにとって最良の場所を、正確に測り綱で計測して相続地として用意してくださいます。そこで、ダビデは、神の約束を黙想し、いつも主を信じるように導いて下さる主を賛美しています。余談ですが、日本の農学者で戦後の米の自給自足に貢献した松島省三博士は、この詩篇16篇6節の聖句から「測り縄は楽しき地に」という表題の自伝を出版しています。無教会主義のクリスチャンでした。さて、8節では、「私はいつも、私の前に主を置いた。」と告白します。ある人は、「私はつねに主を透かして見る」と訳しています。すべての物事を、主を通してみることにより、主と同じ見方をすることができます。それは別の表現をすれば、「主が私の右におられるので、私はゆるぐことがない。それゆえ、私の心は喜び、私のたましいは楽しんでいる。私の身もまた安らかに住まおう。」という確信に満ちた賛美となります。10節~11節は、ペテロによって、イエス様の復活の預言として引用されています(使徒の働き2章25節~28節)。使徒パウロは、「死よ。おまえの勝利はどこにあるのか」(コリント人への手紙、第1、15章55節~57節)と宣言し、ユダヤ人の会堂でも、神の御子イエス様の復活の預言として、10節を引用しています(使徒の働き13章35節)。
今日の聖書箇所から教えられることは、私たちも、ダビデと共に「主は、私へのゆずりの地所、私はいつも、私の前に主を置いた」と日々、告白することです。そうすれば。ダビデと共に「あなたの御前には喜びが満ち、あなたの右には、楽しみがとこしえにあります」という素晴らしい賛美を捧げるダビデの信仰へと引き上げられるのだと思います。主よ。私たちを信仰と喜びに満たしてくださいますように。
清宣教師
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