きょうの詩篇も、「都上りの歌」という前書きがついています。何故、この詩篇が「都上りの歌」の中に入ることになったのか、理由はよくわからないようです。ただ、シオンの選びがテーマに加えられているので、そのことがひとつの理由と考えられます。ダビデの選びとその国家への祝福は、つねに、イスラエル王国の希望の灯火でした。
1節―5節は、ダビデの献身。とくに、3節―5節において、ダビデが、主のために神殿を建てたいと切に願う心が描写されています。その当時の様子は、サムエル記第2、7章1節―3節、そして、4節―29節に記されています。6節―9節は、エルサレムへの遷宮。契約の箱は、ある時期、ペリシテ人に奪われていましたが、その後、ペリシテ人から返却された契約の箱は、キルヤテ・エアリム(森の町)にとどめられていました。そのことを、ダビデの出身地であるベツレヘムあたり(エフラテ地方)で聞いたダビデは、それをヤアルの野(森の町の意)で見出しました。そして、ダビデは契約の箱のもとにはせ参じました。そして、神に向かって、私たちのもとにとどまって下さいと懇願するのです(8節)。10節―12節は、ダビデへの誓い。ダビデへの契約を覚えて、私たちを見捨てないでくださいと祈ります。11節から12節のカギカッコの中は、サムエル記第2、7章12節―16節から引用した主のみことばの宣言です。このダビデへの誓いを覚えて、イスラエルの王国をお守りください、という祈りです。13節―18節は、シオンの選び。シオンの選びは、旧約聖書における神の救いの計画の一環を担う重要なテーマです。「ひとつの角」「ひとつのともしび」は、主が立てようとする理想的な王、つまり、ダビデの子孫から生まれる救い主、メシヤのことを指しています。そして、その約束は、イエス・キリストにおいて成就するのです。このように、旧約聖書を通じて、神の一貫した御計画を、ダビデとシオンの選びに見ることが出来ます。それはやがて、新約聖書へと繋がっていきます。主のご計画は、決して偶然や思い付きではなく、どんな状況にあっても、その底流において、厳然として存在しています。
今日の聖書箇所から教えられることは、私たちは、さまざまな多様な価値観の支配する、混沌とした世界に住んでいますが、その底流においては、神のご計画が厳然として存在していることです。私たちの救い主イエス様を通して、信仰の錨を、天の御座の内側に繋ぎましょう(へブル人への手紙、6章19節参照)。「信仰の創始者であり、完成者であるイエスから目を離さないでいなさい。」(へブル人への手紙、12章2節)。
清宣教師