1節~9節は、アハズ王への主のことば。10節~17節は、インマヌエル預言。18節~25節は、アッシリヤによる荒廃の預言。イザヤは、ウジヤ王が死んだ年に、主によって預言者として召されましたが、ウジヤ王の子のヨタム王の時代には、確かな活動の記録がありません。ヨタム王の子のアハズ王の時代に活躍しました。そのあと、ヒゼキヤ王の時代にも、活躍しています。さて、当時、すでにイスラエルの国は、北イスラエル王国と南ユダ王国に分裂しておりました。そして、北イスラエル王国と南ユダ王国は、一時的な平和の時はありましたが、そこには敵意があり、激しく戦っておりました。アハズ王の治世の時、北イスラエルの北にあるアラムの王レツィンと北イスラエルの王レマルヤの子ペカが同盟を結び、南ユダに攻め込んできました。そして、南ユダの首都、エルサレムを包囲しましたが、戦いに勝つことは出来ませんでした。神の恵みにより、南ユダ王国は、なんとか、持ちこたえていました。なぜ、北イスラエルがアラムと同盟を結んだかというと、北方にアッシリヤ帝国という強大な勢力があり、北イスラエルとアラムは、アッシリヤの侵略を恐れて反アッシリヤ同盟を結んだのです。しかし、南ユダはどうも親アッシリヤ政策をとる気配が見えたので、それを北イスラエルとアラムの同盟軍で、先手を打って南ユダを占領して、反アッシリヤを推進する王朝を建てようとしたのです。しかし、主の恵みにより南ユダの首都エルサレムは陥落しませんでした。ところが、アラムの軍勢が、エルサレムから撤退する途中、自分たちの国に帰らずに、南ユダの国内にとどまったことがアハズ王に報告された時、大きな不安で心が満たされて、動揺したようです。そのとき、主がイザヤに、主のことばを授けて、アハズ王に会うように命じました。その際、イザヤが息子のシュアル・ヤシュブを連れて行くように命じました。預言者イザヤは、アハズ王に対して、彼らを恐れるな、エルサレムが占領されることはない、と預言しました。そして、主の約束が確かなことの証しを求めるように促したのですが、アハズ王は消極的でした。おそらく、すでに、アハズ王は、アッシリヤに手をまわして、アッシリヤからの助けの確約を得ていたのかもしれません。それはそれとして、主は、処女が身ごもって男の子を産むこと、その名はインマヌエルと呼ばれるという、メシヤの預言をしています。「悪を退け、善を選ぶ」その子(15節)とは、イザヤの子のシュアル・ヤシュブのことであり、時間的にはそれほど長い時期ではないことを表しています。18節以降は、イザヤは、南ユダは神の民であり、信仰をもって危機を乗り越えるべきなのに、神に信頼せず、アッシリヤに頼ったことにより、かつてないほどの苦難が南ユダを襲うことになると、イザヤは、アハズ王を激しく非難しました。
今日の聖書箇所から教えられることは、神の民は、神に信頼することを貫き通すことの重要性です。いつのまにか、周囲の状況に振り回される信仰者の生き方を強く戒めています。最後まで、主への信頼を貫き通す時に、完全な勝利があるのです。
清宣教師