39章のテーマは、「バビロンとの同盟」です。この頃、アッシリヤの支配下にあったバビロンですが、アッシリヤに反逆して反アッシリヤ運動への勧誘のために、遠くユダまで使者を遣わしたようです。一方、主によって大病を癒されたヒセキヤ王は、思いがけず、遠国のバビロンからの賓客を迎えて、大喜びであった様子が手に取るように分ります(1節~2節)。バビロンからの軍事同盟の提案に対して、ヒゼキヤ王は、預言者イザヤに相談することなく受け入れ、国の財産、武器庫のすべてを公開して、どんなに力強い協力者になるかをバビロンの使者に示しました。ヒゼキヤ王は、すっかり、うぬぼれてしまったのでした。この時の状況が第2、歴代誌32章31節に記されています。そこには、次のように記されています。「バビロンのつかさたちが彼のもとに代言者を遣わし、この地に示されたしるしについて説明を求めたとき、神は彼を試みて、その心にあることをことごとく知るために彼を捨て置かれた」。主はあえて、ヒセキヤ王が、バビロンの使者に対して、どのような対応をするか、テストされたようです。預言者イザヤは、ヒゼキヤ王のもとに来て、彼らは「何を言いましたか」、「何を見ましたか」と尋ねました。ヒゼキヤ王は、素直に宝物蔵のすべてを見せた、と答えました(3節~4節)。それに対して、主は、ユダ王国がバビロンにより徹底的に敗北することを預言しました。バビロン捕囚の預言です。まだ、遠い先のことと思ったヒゼキヤ王は、そのことで安心したのか、あるいは、開き直ったのか、「あなたが告げてくれた主のことばはありがたい」と返答しました(5節~8節)。
今日の聖書箇所から教えられることですが、ヒゼキヤ王のような宗教改革者として、とても重要な働きをした人物でも、サタンの誘惑におちてしまったことです。それはアッシリヤの攻撃を退けた大成功のあとであり、また、人生で最高の癒しを経験した直後のことでした。つまり、信仰者にとって最大の危機は、最大の信仰体験の直後にあるということです。私たちもこのことを肝に銘じて誘惑に陥らないようにお互いに祈りましょう。
清宣教師