きょうの8章から11章までの4章は、エルサレム神殿をめぐる幻について記されています。1節にあるように、この幻は最初の幻(第5年の4月5日)から1年2か月後のこと(第6年の6月の5日)です。エゼキエルは、バビロンへの第1次捕囚のとき、エホヤキン王と一緒にバビロンに連れ去られてきましたが、1年2か月後の当時も、まだ、エルサレムの神殿は無事でした。エゼキエルはバビロンの地において、エルサレムの滅亡と神殿の滅亡の預言の言葉を伝えていました。そのような状況の中で、バビロンの捕囚の地にある、エゼキエルの自宅に、ユダの長老たちが、エゼキエルのもとに来て座っていました。そのとき、主の御手がエゼキエルの上に下りました。突然、腰から下は火のように、腰から上は灼熱の青銅のように輝く姿が現れて(2節)、エゼキエルの髪のふさをつかんで、空中に持ちあげ、エルサレムの神殿の北向きの門のところに降ろされました(3節)。その北門を入るとすぐ、ねたみの偶像が置かれていました。おそらく、アシェラ女神であると思われます。これはマナセ王の時に神殿に持ち込まれました(第2、列王記21章3,7節)。その後、ヨシュア王の宗教改革のとき、取り除かれました(第2、列王記、23章4,6節)。しかし、さらに後代の王たちにより再び立て直されたようです。なぜ、妬みの偶像なのでしょうか?それは、創造主と神の民(イスラエル)の関係は、夫婦の契約をしているからです。創造主は、神の民を愛し、ご自身を与えられました。神の民も、自分を主に与える関係でした。ところが、イスラエルの民は、創造主ではない神々に自分を与えたのです。ですから、妬みの偶像と呼ばれています。新約聖書でも、主と教会の関係は、夫婦の関係に例えられています。さて、このような偶像礼拝にもかかわらず、エルサレムの神殿には、まだその時は神の栄光があり、神殿は神の栄光で満ちていたのです(4節)。さて、7-13節ですが、エゼキエルは秘密の部屋を見るように命じられました。そこは内庭の門の地下にあったようです。その部屋に入ると、エジプトの神々である蛇やワニなどの動物の像が壁一面に刻まれていました。70人の長老たちが拝んでいました。エルサレムへの第1次捕囚の後、ゼデキヤ王が、民の中から選んだ人たちのようです。香をたいて礼拝していました。その中には、シャファンの子、ヤアザヌヤの名前も記されています。ヤアザヌヤは、シャファンの子でした。シャファンはヨシュア王が宗教改革を行った時、ヨシュア王に協力した人です。また、ヤアザヌヤの兄弟アヒカムはエレミヤの友でした。しかし、そのような家族の中にも偶像礼拝が浸透していたことを示しています。14-15節では、バビロンの豊穣の神タンムズのために泣き、嘆く女たちがいました。ギリシャの美少年のような姿をしたタンムズは、夏の暑さによって死に、春に再び復活すると信じられていました。この女たちはタンムズの死を嘆き、泣くことにより、タンムズを呼び戻したと言われています。16-18節においては、神殿の本堂と祭壇の間にいた25人ほどの人について描写しています。この場所は、祭司しか入れない神殿の神聖な場所でした。つまり、この25人はみな主の宮の祭司でした。ところが、主の契約の箱が納められている本堂に向かってではなく、なんと、本堂に背を向けて、東の門の方、つまり、太陽を礼拝していたのです。エジプトの太陽神ラーを礼拝していたのです。「ぶどうのつるを鼻にさしている」とは、太陽礼拝者が、太陽の光を汚さないように、自分の鼻の息をきよめるため、木の枝を束にして鼻の先に持ったと言われています。これほど、太陽の光を汚さないように神経質になるのに、主の栄光を汚すことに関してはまったく無頓着になっています。わたしたちも、時に、人間関係や儀式については、非常に神経質なのに、肝心の主に関する事には無頓着ということがあるということです。今日の個所は、エルサレムの神殿の中に、さまざまの偶像が満ちていた実情を明らかにしています。私たち自身は、聖霊の宮であると言われています。その中に、神様よりも価値を置いている偶像がたくさんあるかもしれません。自分の隠された心の中も、主の前には隠されてはいません。主よ。私たちの隠された心の中の偶像を取り除いてください。清めてください。
清宣教師
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