8章では、エゼキエルはエルサレムの神殿の中で行われている 偶像礼拝の実情を、主の幻によって見せられました。9章では、エルサレムの守護天使たちによる裁き(地上的には、その後、バビロン軍により実行された)を見ました。10章では、神殿のケルビムの幻を見せられました。1節~8節はエルサレムを焼くための炭火をとった御使いの幻、9節―22節はケルビムと車輪が神殿から去って行った幻です。ケルビムは神の台座のようなもので、その遥か上に、主の玉座があります(1節)。8章11節に続いて、主は、救われるべき人の額にしるしをつける役割を果たした亜麻布をまとった御使いに対して、「ケルビムの間の炭火をとってエルサレムの町の上にまき散らせ」と命じられました。エゼキエルが見ていると、ケルビムは神殿の右側に立っていて、主の栄光がケルブの上から神殿の敷居に向かい、神殿は主の栄光で満たされ、庭も主の栄光で満たされました(4節)。ケルビムの翼の音は全能の神が語る声のようでした(5節)。主が、再び、亜麻布を着た御使いに、「ケルビムの間から火を取れ」と命じられました(6節)。そこで、ひとつのケルブが、ケルビムの間から火を取って、亜麻布を着た御使いの両手に、その火を盛りました(7節)。ところで、ケルブとは、単数形、ケルビムとはケルブの複数形です。日本語では、このような言葉の使い方をしないのですが、ヘブル語では単数形と複数形で名前がことなります。ケルブと記されていたら、複数のケルビムを指しています。複数のケルビムの間から、ひとりのケルビムが手を伸ばして、火をとり、亜麻布を着た御使いに渡したということです。亜麻布を着た御使いは、その火をもってエルサレムの町に出かけていきました(7節)。これらのことは幻の中で起きたことですが、地上的には紀元前586年、バビロン王の侍従長ネブザルアダンにより、エルサレムの神殿とすべての家が焼き払われました。9節―22節は、ケルビムの様子が描写されています。そして、15節、20節、22節で、「私がかつてケバル川のほとりで見た生き物」と同じものであったことに気付いたことが描かれてあります。「かつて」とは、1章1節―2節に記されていますが、エホヤキン王が捕囚となって連れて行かれてから5年目の第4の月の5日でした。きょうの10章の幻は、それから1年2か月後の第6年の第6の月の5日(エゼキエル書8章1節)のことでした。聖都エルサレムの神殿の中に見られた主の栄光が、かつて、異教の地のケバル川のほとりで見られた主の栄光と同じであったことは大きな驚きだったと思います。初めは、まさかと思い、気づかなかったと思われます。イスラエルの聖都エルサレムの神殿の主の栄光は、神殿から出て、東の門の入り口で立ち止まりました(19節)。長い間のそむきの罪にもかかわらず、イスラエルの民を愛し、神殿に留まられた主が、遂に、神殿を去られるにあたり、いかにも、名残惜しそうに、東の門の入り口で立ち止まられたのです。さて、1章でケバル川のほとりで見た「生き物」は、10章では「ケルビム」であると記しています。また、1章では「輪」と記しましたが、10章では、正しくは「車輪」と呼ばれていることを記しています。さて、亜麻布を着た御使いは、9章では、救われる人の額にしるしをつけるためにエルサレムの町に来ました。10章では、火による清めとさばきのためにエルサレムの町に来ました。これは、イエス様が、初めに来臨されたのは、罪人の救いのためでしたが、再び来られるときには、さばきをされるために来られますので、亜麻布を着た御使いはイエス様のことを予告しているのではないかと解釈している人もいます。バプテスマのヨハネは、神の御子イエス様のことを、「見よ。神の子羊」、と呼び、そのお方は、「あなたがたに聖霊と火との人のバプテスマをお授けになります」と預言しました。確かに、主は、人々を救うために、聖霊様をもって満たされますが、しかし、世の終わりには、すべてを清めるために火でもって覆われます。
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