10節に[ヤコブ]という名前が出てきますが、ヤコブのお父さんがイサクであり、イサクのお父さんがあの有名なアブラハムです。
アブラハムの孫にあたります。ヤコブは、人生の途上で、神様から、あなたの名前をイスラエルとすると言われました。ですからヤコブは、生まれた時に与えられた名前であり、イスラエルは、(クリスチャンネームのような)神様から与えられた名前です。ヤコブもイスラエルも同一人物のことです。さて、ヤコブには12人の男の子がありました。それぞれが、長い世代を経て、12部族となりました。イスラエルの12部族とよばれるものです。その12部族は、神から与えられた約束の地であるカナンの地を、それぞれ、相続しました。12の地域に別れました(アメリカの州のようなもので、イスラエルの国には、12の州があったということです)。やがて、王国となりましたが、その統一王国は、ふたつに分裂して、北イスラエル王国(10部族)と南ユダ王国(2部族、具体的にはユダ族とベニヤミン族)になりました。北王国はやがて、アッシリアによって滅ぼされ、北イスラエルの民はみな、アッシリアに捕虜となり、連れていかれて、再び戻ることはありませんでした。南ユダ王国もまた、バビロン帝国によって滅ぼされ、捕囚の民として連れ去られます。エレミヤ書30章と31章は、北王国と南王国の両方の12部族に対する預言です。内容的には、必ず、故郷のイスラエルに連れ戻すという約束です。南ユダに関しては、70年のバビロンの捕囚の後、エルサレムへの帰還が実現しましたが、その後、再び、全世界に離散しました。北イスラエルも離散したままです。最終的には、この終末の時代、成就する預言であると考えられています。1948年、イスラエル共和国が誕生しました。そして、全世界から、イスラエルの12部族が続々と帰還するようになりました。2節には、「わたしがあなたに語ったことばをみな、書物に書き記せ。見よ。その日が来る」と主がエレミヤに命じました。書物に記すべき内容が、この30章と31章のことばでした。のちのち、成就する事柄が、最初からの主の御計画であったことが明らかになるように、後世のひとびとに書物に記すように命じられたのです。この預言は、いま、成就しつつあり、これから完全に成就する預言です。
今日の聖書箇所から教えられることは、21節の「わたしに近づくためにいのちをかける者」ということばです。これこそ、新約聖書の「メシヤ、主イエスさま」を指しています。主イエス様は私たちの罪を負われ、その贖いの死を遂げられました。それゆえに、「あなたがたはわたしの民となり、わたしはあなたがの神となる」(22節)の預言が成就するのです。
清宣教師