ダニエルが神様からの啓示を与えられたのは、ペルシャのクロス王の第3年でした(1節)。これはユダヤ人のエルサレム帰還の2年後のことでした。紀元前534年の事と考えられています。そのころ。ダニエルは満3週間、ごちそうもたべず、肉も葡萄酒も口にせず、身に油を塗ることもなく喪に服していました(2節)。この時、ダニエルはすでに85歳を超えていたと思います。そのような高齢にもかかわらず、3週間祈りに専念していたのです。エルサレムに帰還した同胞たちの将来のことを思うと、祈らざるを得なかったようです。大河ティグリスのほとりでの出来事でした(4節)。そこに1人のひとが現われました。それは、使徒ヨハネが晩年、パトモスの島で見たひとりの人に良く似ていました(黙示録1章12節―16節参照)。つまり、御子イエス様の受肉前の顕現ではないかと考えられています。ダニエルは力が抜けて、意識を失って、地に倒れるほどでした。使徒ヨハネも死者のようになったと記されています(黙示録1章17節参照)。主の栄光の前には、あまりの威厳と聖さに満ちた栄光に圧倒されて立っていることができないことが分ります。しかし、主は優しいお方です。ダニエルに触れて下さり、そして言われました。「神に愛されている人ダニエルよ。・・・そこから立ち上がれ」と言われました。それで、ダニエルはなんとか立ち上がりました。主がいわれるには、ダニエルが祈り始めた最初の日にすでに、ダニエルの祈りは聞かれており、その答えをもってダニエルのもとへと来たというのです。しかし、途中で、ペルシャの君(サタンの配下で、ペルシャの地を支配している悪天使)が21日間、彼の前に立ちふさがっていたので思うようにできず、ミカエル天使が助けにきてくれたので、ペルシャの君は、ミカエル天使にまかせて、祈りのこたえをもってきたのだと言いました(13節)。主のご計画は、ペルシャ帝国がやがて亡び、その後、ギリシャ帝国が起こり、また滅びるという計画でした。しかし、神の計画を阻害しようとする悪天使の働きがあることを、聖書は示しています。一般に、「霊的な戦い」と言われています。この地上での戦いの前に、天における、つまり、霊の世界での戦いがあるということです。天において、みこころがなるように、この地においてみこころがなるようにと、私たちは日毎にお祈りしています。まず、天において(霊の世界において)、神の計画が成就し、それが地上で実現するのです。そのために、この地上でも祈るのです。地上での祈りは、天における霊的な戦いにおいて力を発揮するのです。ダニエルもだからこそ、21日間の断食の祈りを続けたのです。
さて、主との会話の中で、ダニエルはとても緊張していて何も言えませんでした。すると、また、主がダニエルの唇に触れて、ことばと話す力を与えて下さいました。ダニエルは、「私には力も失せてしまい、息も残っていないのです」と応答しました。すると、再び、主は、ダニエルに触れて、力づけ、「神に愛されている人よ。恐れるな。安心せよ。強くあれ。強くあれ。」(19節)と励ましてくださいました。そこで、ダニエルは、「わが主よ。お話し下さい」ということが出来ました。そこで、主は、これから、ペルシャの君と戦うために帰る事、しかし、今度はギリシャの君(サタンの配下で、ギリシャの地を支配している悪天使)がやってきて妨害するが、彼と戦うのは、ユダヤ人の守護天使で、天使長でもあるミカエルであり、激しい霊の戦いが繰り広げられるのです。サタンの戦略は、主の救いのご計画を成就させないという最終目的のために用意周到に戦いを臨んできます。私たちは、さまざまな人間関係や敵対行為、さまざまな障害の背後に、サタンの計画があることを覚えて、霊的な戦いであることを自覚する必要があります。そうでないと、兄弟姉妹同士の敵対関係、人間同士の戦いなどに巻き込まれてしまいます。あくまでも、目に見える事件の背後にサタンの策略がある事を見抜く必要があります。そして、御霊と共に祈る執り成しの祈りによって、霊的な戦いに勝利をおさめる必要があるのです。「愛されている者たちよ、雄々しくあれ、強くあれ。」
清宣教師
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