前半の1節~8節ですが、「イスラエルは多くの実を結ぶよく茂ったぶどうの木であった」という出だしで始まります。過去において、イスラエルは豊かに創造主から祝福を受けた存在でした。しかし、その恵みに慣れてしまい、創造主から心が離れ、バアル礼拝に傾いていきました。バアルへの祭壇をふやし、石の柱を増やしました。それで、主は、祝福をやめ、バアル礼拝に関する祭壇や石の柱を取り除き、王と民たちとの間で結ばれた、むなしい誓い「むだ口」(4節)、むなしい契約はなんの意味もないことを示します。つまり、主をおそれることを止めた群衆たちが勝手に担ぎ出した王たちです。民衆は、王に対する尊敬の念を失っていました。お互いに、約束をしてもそれを守ろうという心がないのです。べテ・アベン(悪の家)は、もともとべテル(神の家)でしたが、金の子牛の偶像を造り、これを礼拝するものへと変質してしまいました。金の子牛の栄光は取り去られ、結局、アッシリア大王への貢物として遠くアッシリアへ運ばれ、王の聖所は空っぽになってしまうのです(6節)。「自身のはかりごと」(6節)とは、ホセア王がエジプトにより頼み、アッシリアに背いたために、国が滅びに至ったことを指しています。そのときは、サマリヤの上に臨む悲劇のために、「王は水の面の木切れのように」(7節)連れ去られるのです。また、たとい生き残った者たちも、恐ろしさのあまり、山々に向かって「私たちをおおえ」、「私たちの上に落ちかかれ」と叫ぶというのです。主イエス様は、エルサレムの滅びを預言された時、このホセア10章8節後半のことばを、そのまま引用されました。
後半の9節~15節です。すでに預言者ホセアは、5章8節で、ギブアの町について預言していました。このギブアの町は、北イスラエル王国の最南端にある町です。ホセアの預言を聞いた聴衆たちは、ホセアが災いが臨むことを預言しているけれども、果たしてもう一度、戦火が及ぶことはあるだろうか、そんなことはあり得ないと反発しました。しかし、預言者ホセアは、イスラエルは昔も今も少しも変わっていない、昔の不義と今の不義の二つの不義(10節)のために、必ず、主はギブアを裁かれる、と預言しました。しかし、再び、聴衆の中から、イスラエルは神の選びの民ではないか、との反論がなされました。それに対して、預言者ホセアは、11節のエフライムは「雌の子牛」であり、主の命令に従うことを好んでいたこと、そして、エフライムも、ユダも、ヤコブもみな、主に対して仕えるために選ばれたことを思い起こさせます。いま、確かに南ユダ王国と北イスラエル王国に分裂しているが、もともとは、みな「正義の種をまき、誠実の実を刈り入れる」ために、主との契約の民として召されたのです。だから、イスラエルは、耕地を開拓する使命があり、いまこそ、主を求める時である、と語ります(12節)。このような主から与えられている使命にもかかわらず、「あなたがたは悪を耕し、不正を刈り取り、偽りの実を食べている」(13節)と、預言者ホセアはイスラエルの民を糾弾しています。そして、創造主に頼ることなく、「自分の行い」や「多くの勇士」、つまり、武力により頼んでいるので、戦いと騒動に巻き込まれる、と宣言しています。14節の「シャレマン」については、いくつかの説があり、例えばアッシリヤ王のシャルマヌエセル5世ではないかなどの名があげられています。その破滅はおそるべきもので、こどもたちの上で、母親が惨殺されるような状況になる、と言われています。それにしても、それはイスラエルの家の悪行が、みずから招いた結果であり、必ず裁きがあり、滅ぼされるのです。正義の種を蒔くために召された者が、かえって悪の種をまく者となったのですから、滅びへの定めは主の正当な裁きなのです。今日の聖書箇所は、「今が主を求める時だ。ついに主は来て、正義をあなたがたに注がれる。」(12節)と宣言しています。この祝福に預かりましょう。
清宣教師
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