32章1節―16節は、エジプトへの第6番目の預言です。ついで17節ー32節はエジプトへの第7番目の最後の預言です。年代的には、17節ー32節(第12年1月15日)の方が、1節―16節のもの(第12年12月1日)より、11ヶ月くらい早い時期に語られています。内容的には、エジプトが若い獅子、海の中のワニ(あるいは龍)に例えられています。しかし、エジプトは、裁きがなされ、鳥獣のえじきとなります。主が裁きの器としてバビロンの剣をもちいます(11節)。こうして、エジプトの住民を打つとき、「わたしが主であること知る」のです。この1節―16節は、末尾の16節に記されていますが、「哀歌」という詩のかたちをとっています。哀歌とは、死に臨んで悲しみなげく歌です。バビロンによりエジプトが葬られてしまう、その葬りの悲しみの歌です。諸国の娘たちが歌うとありますが、それは葬儀の時にいる泣き女に例えています。目に見える出来事としては、バビロンがエジプトを滅亡させたように見えます。しかし、主は、預言を通して、この哀歌の中で、「わたしは・・」「わたしが・・」と全部で13回もくりかえしています。つまり、目に見える歴史の背後に、主が歴史を展開していることが分ります。17節―32節では、民の「娘」というのは、「町」を指しています。「穴にくだる」とは、死者が行く世界を表しています。「地下の国」も同じ意味です。「剣で刺し殺された者たち」とは、墓にも葬られず、裁かれる様子を示しています。「割礼を受けていないもの」:エジプト人はみな割礼を受けていたので、外国の割礼を受けていない者たちを、神の恵みにあずかれない者たちとして軽蔑していた。しかし、エジプトも 、割礼をうけていない民たちと同じように裁きをうけて、割礼を受けていない死者の待つところにいくことになる。ここには、7つの国に対する裁きが記されています。アッシリア、エラム、メシェク、トバル、エドム、シドン、エジプトの国々です。
今日の個所から教えられることをふたつ挙げます。まず、第1に、主は、「わたしが・・・」と言われて、何度も預言されています。エジプトの滅亡の預言は、これで7回目です。内容的には、ほぼ、同じです。その理由は、聴く者たちへの配慮からなされています。何度語られても、エゼキエルを馬鹿にしていた民たちでした。それは、神のことばを馬鹿にするものでした。エジプトの繁栄を目の当たりにしていたからです。また、エルサレムも安泰でした。しかし、1節―16節のときには、もはや、民たちは誰もエゼキエルのことばを馬鹿にせず、真剣に聞いていたと想像されます。なぜなら、この預言が語られた時よりも、わずか前に、エルサレムが陥落したからです。エルサレムの神殿も、宮殿も、人家もみな全焼し、灰に帰していたからです。主の預言が成就したのです。だれも、主の預言を馬鹿にするものはありませんでした。エゼキエルは、真の預言者として認められたのです。イエスさまの福音も、何度も語られる必要があります。それは、聴く者の心が変わっているかも知れないのです。今までは、頑なに心を閉じていたのに、何かのきっかけで、心が柔らかになっているかも知れないのです。第2に、主が裁きをなされたのは、7つの国が、最初はへりくだっていたのに、のちには、傲慢になったからです。主は、傲慢な者、高慢なものを裁かれます。主こそ、歴史の主人公です。私たちは、主の前に、へりくだり、歩みましょう。
清宣教師
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