きょうの38章は、39章まで続く、ゴグについての預言です。概要を述べますと、イスラエルの民が祖国に帰り、平和に暮らしているときに、ゴグが諸民族の大連合軍を率いてイスラエルに攻め入るのですが、主はゴグとその大連合軍をことごとく滅ぼされるという内容です。
37章ではメシヤによってイスラエルが永遠の平和を回復するという預言でした、一方で、この地上において、イスラエルが平和を得るには、イスラエルに敵対するすべての勢力が一掃される必要があります。そこで、主は最終的に、ゴグのもとに反イスラエル勢力を終結させます。それはイスラエルが平和に暮らしている時でした。ゴグのもとに、連合軍が結成され、イスラエルに雪崩をうつように攻撃するのです。イスラエルの命運は風前の灯火です。絶体絶命の状況に追い込まれます。そのとき、主みずから、ゴグと連合軍を一挙に粉砕するのです。こうして、反イスラエルの勢力を地上から一掃するというのです。その結果、イスラエルに恒久的な平和が訪れるのです。
ゴグとマゴグは黙示録20章にも登場しますが、神の民に対して戦いを挑む諸国民のリーダーとして現れます。それはサタンがキリストの主権に対して、多くの国々を結集しておこなう世界最終戦争であり、「ハルマゲドンの戦い」と呼ばれるものです。しかし、神の民が絶体絶命の窮地に陥れられた時、神みずから介入し、天からの火をもって諸国民の軍勢は焼き尽くされるのです。そして、サタン自身も火の池に投げ込まれます。
さて、メシェクとトバルの大首長ゴクですが、ペルシャ、クシュ(エチオピア)、プテ(リビヤ)、ベテ・トガルマ(アルメニア地方の住民)などの諸国の軍隊が含まれています(2節―6節)。ゴグの地はどこかという問題があります。大首長(ヘブル語でネシー・ローシュ)をローシュの君と訳している人もいます。トバルは、コーカサス地方、メシェクはモスクワだと考えて、ローシュはロシアと解釈するひともいます。聖書から明確なのは、イスラエルから見て、「北の果ての国」(15節)であることは間違いありません。現在、地図を見ると、イスラエルの周りは、ことごとく、アラブ諸国で囲まれています。そして、それらの国はイスラエルを敵視し、あるいは、イスラエルを地図上から抹殺すると公言している国々です。シリア、イランもそうです。さらに、北方にはロシアがあります。ただ、現状が、預言と異なる点といえば、イスラエルが平和の中で満足してはいないということです。これに関しては、反キリストが現われて、世界平和をもたらし、イスラエルも平和を保証されて、その平和を楽しんでいるとき、突如として、反キリストのもとにイスラエルに対する世界連合軍が結成されて攻撃するのではないかという預言の解釈もあります。預言の解釈は難しいですが、確かに、成就するので、心に留めておくことは大事です。一方、私たちの責任は、イスラエルやイスラム諸国、それに、国々の平和のために、信仰をもって執り成し祈ることであると考えます。
清宣教師