ダニエル書8章です。7章から3年後、紀元前550年のことでした。ダニエルは、そのとき、エラム州のシュシャンの城にいました。シュシャンは、後にペルシア帝国の首都となりました。シュシャンの城の近くのウライ河畔で、ひとつの幻をみました。3節、一頭の雄羊が川岸に立っていました。その後、5節で、もう一頭の雄ヤギが登場します。この幻の解き明かしは、15節―17節、天の御使い、ガブリエルによってもたらされました。その解き明かしによると、第1の雄羊の持つ2本の角は、メディアとペルシアの王であることが分ります。そして、毛深い雄ヤギは、ギリシャの王であることが分ります。その角が折れて代わりに4本の角が生えました(22節)。それはギリシャから4つの国が起こることでした(22節)。この解き明かしを土台として、3節から見ていきます。一頭の雄羊が立っていました。2本の角は、メディアとペルシアでした。長い方の角はペルシアのことです。メドペルシアの国旗には子羊が描かれていました。ペルシアの王は、クロス王でした。捕囚の民となっていたユダヤの民を解放した王です。すでに、イザヤが、45章1節で、その名前[クロス]を預言していました。ここではペルシャツァル王の治世の3年目に預言されていました。この王たちは、西(バビロン)、北(アルメニア)、南(エジプト)に突き進み、まさに敵なしの状態でした、それらの国々を支配しました。そして、高ぶりました(4節)。5節、著しく目立つ一本の角とは、まさに、ギリシャのアレクサンドル大王のことです。アレクサンドル大王はわずか数年で、インドまで征服しました。しかし、エルサレムには手をかけませんでした。なぜでしょうか?それは古代ユダヤ誌のヨスフスが記しています。アレクサンドル大王の軍勢は、ダマスコ、シドン、ツロを攻め、次第に南下してきました。そこから、ユダヤの大祭司に使者をだして忠誠を求めました。しかし、大祭司は忠誠を拒否しました。そこで、アレクサンドル大王は非常に怒り、大軍をもって、エルサレムに乗り込んできました。その時、主の大祭司は、正式の衣服でアレクサンドル大王を迎えました。ところが、アレクサンドル大王が大祭司を見た途端、ひれ伏して拝んだと言います。なぜそのようなことをしたのかと言いますと、マケドニアを征服するために出発する前の晩、アレクサンドル大王は夢をみたのです。そのとき、この大王に勝利を約束してくれた人物がいました。それに勇気づけられてマケドニアを征服したのです。その人物は、大祭司と全く同じ服装をしていた人物であったのです。それで、アレクサンドル大王は大祭司の前にひれ伏し、ユダヤ人に対して特別の好意をもったと記されています。さて、この雄ヤギは、激しく、雄羊に向かって雄羊を打ち殺しました(6節、7節)。つまり、ギリシャは完全にメド・ペルシアを征服しました。8節、この雄ヤギは非常に高ぶりました。その時、角が折れました。アレクサンドル大王が33歳の若さで病死するということです。9節、今度は、昨日、述べたように、アレクサンドル大王の死後、4つの将軍が、4つの地域で王朝を建てあげて支配しました。9節―14節、4本のうちの一本の角が出てきました。この角とは、シリアのセレウコス王朝を指しています。小さな角は、アンチオコス・エピファネスという人物であると言われています。この人物は、南のエジプトを支配下に置きます。次に、東のアルメニア、そして、麗しい国(イスラエル)を征服して、天の軍勢や星の軍営(イスラエルのことを指すと理解される)を踏みにじりました。エピファネスの名の意味は、「現れた神」という意味で、まさに、自分自身を神としました。11節、その当時、すでに、イスラエルの民は、ユダに帰還して、神殿を再建していました。ところが、その神殿の祭壇が壊され、主に捧げる犠牲の動物ではなく、偶像に捧げるための動物の犠牲が捧げられたのです。これは23節では、[横柄で狡猾なひとりの王]と記されています。アンチオコス・エピファネスは、狡猾をもって王となったことが知られています。24節、25節、悪巧みと欺きによって王となった人物です。この人物は、イスラエルを支配し、非常に苦しめました。彼は、法律でユダヤ教を禁じました。その律法を焼きました。そして、安息日を守ることを禁じました。そして、割礼を禁じました。自分に都合の良いものを大祭司に立て、神殿の祭壇に汚れた動物とされている豚をささげました。イスラエルの神に代えて、ゼウスの神を強制的に拝ませました。ですから、何万人というユダヤ人が処刑されました。そのような大きな苦しみは、いつまでのことなのだろうか?(13節)。それに対して、御使いは、「2千3百の夕と朝が過ぎるまで」(14節)と答えました。6年と4ヶ月と20日になります。これにはいくつかの解釈がありますが、明確ではありません。15節で、ダニエルは、この幻を悟りたいと願いました。ダニエルは、主の使いの解き明かしを受ける時、主の臨在に圧倒されて倒れました。しかし、御使いが、立ち上がらせてくださいました。19節―26節の解き明かしを聞きました。この預言がなされた時、ギリシャは、まだまだ、小さな小さな国でした。
以上ですが、今日の個所に「終わりの時のことである」(17節)と記されています。それで、これらの預言は、ダニエルの時代のことだけでなく、私たちが生きている、今の終末時代に起こることをも預言していると思われます。ダニエルは病気になる程、幻の意味を探求していました(27節)。神のみことばに対する熱心の故の病気でした。
清宣教師
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