今日のホセア書5章から7章までの3つの章は、「立ち返ろうとしないイスラエル」が主題です。
まず5章1節―7節では、3つの指導者階級に対して、呼びかけています。第1に、祭司たち、第2に、イスラエルの家(町々の長老たちのこと)、第3に、王の家です。それぞれ、祭司は教え、町の長老たちは地方の裁判、王の家は国の裁判を司る人たちです。彼らの役割は、民たちを正しく教え、指導し、正しい裁きをなすことでした。それにもかかわらず、民たちをつまずかせ、わなとなり、網を張り、落とし穴を掘るようなことをしていました(2節)。ミツパとタボルの地名が挙げられていますが、そこで偶像礼拝が盛んに行われたからと考えられます。それで、主は、彼ら指導者をことごとく懲らしめると宣言されました(2節後半)。彼らは偶像礼拝という霊的な姦淫の罪を犯し、主なる神に立ち返ろうとせず、むしろ、高慢の塊になっていました。バアル化した礼拝をどんなに熱心に捧げても、主はそれを受け入れることはありません。7節の「他国の子を産んだ」という表現は、夫である主なる神を捨てて、外国の神々である別の男に取り換えて生れた者という意味です。主の預言者たちが、悔い改めて、主に立ち返るように呼びかけても、イスラエルは悪しき指導者のゆえに、バアル礼拝に固くしがみついて離れようとしないのです。
8節―15節は、ユダとイスラエルの争いです。背景は南ユダとアラム・エフライム連合軍との間の戦いです(第2列王記16章5節―9節、イザヤ書7章1節―6節参照)。アラムとエフライムは連合軍を結成して南ユダにも加わるように要請しました。ところが、南ユダがこれを拒んだので、アラム・エフライム連合軍は、南ユダに攻め込みました。ベニヤミンの領土を過ぎて、エルサレムに迫っていました。しかし、アッシリアのティグラテ・ピレセルが南ユダの要請に応じて、北イスラエル(エフライム)に攻め込んだので、連合軍は引き揚げました。ギブア、ラマ、アベンの3つの町は南から北に並んでいます。最初、アラム・エフライム連合軍によって占領されましたが、すぐ南ユダによって奪還されたことを意味しているようです(8節)。9節はイスラエルにとって破滅の宣告です。北イスラエルはその後、アッシリヤによって滅ぼされました。しかし、南ユダと北イスラエルの争いは、あたかも主の約束の土地であるカナンの相続地の地境を動かすようなものであり、実際に、南ユダは北イスラエルとの境界線を変更し、主との契約を犯したために、主から裁きを受けなければならないのです(10節)。一方、エフライムは、むなしいものであるアラムにより頼んだゆえに、主からの裁きをうけるのです(11節)。しかし、北イスラエル(エフライム)だけではなく、南ユダも、ともに堕落しており、主はエフライムに対して、しみのようになり、南ユダに対しても、腐れのようになるのです。エフライムもユダも、結局は、メソポタミアの大国に飲み込まれてしまいます。なぜなら、歴史を支配しているのは主なる神だからです(13節、14節)。アッシリアは、北イスラエルの信頼を踏みにじり、北イスラエルを踏みにじりました。それらのことを主があえて許されるのは、イスラエルが現実を知り、主のもとに立ち返り、主を探し求めるための配慮なのです(15節)。「彼らが自分の罪を認め、わたしの顔を慕い求めるまで、わたしはわたしの所に戻っていよう。彼らは苦しみながら、わたしを捜し求めよう」(15節)と言われているように、主はいたずらに、私たちを苦しめることはありません。私たちが苦しむことがあれば、そこには、主のご計画があり、私たちへの配慮があるのです。主の愛は、いつも、変わることがなく、私たちに注がれています。主は真実な方であり、決して間違うことのないお方です。
清宣教師
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