ヨエル書の書名は、1節のヨエルに由来しています。ただし、ヨエルが、どのような人物で、どの時代に預言したかは明確ではありません。有力な説は、南ユダの王、ヨアシュの時代(祭司エホヤダが後見人)とする見方です。ヨエルとは、「主は神である」という意味を持っています。さて、ヨエル書は3章の短い書ですが、3つに別れます。1章1節―2章11節:「イナゴによる災害」。2章12節―2章27節:「災害の後にくる回復」。2章28節―3章21節:「諸国民の審判」です。今日の個所は、イナゴの来襲です。これは自然現象ではなく、神の裁きとしてのイナゴの来襲で前代未聞の大軍でした。太陽の光も覆われて、全地が暗くなるほどの黒雲のようなイナゴの来襲でした。4節では、4種類のイナゴの名前が記されています。「かみつくいなご」、「いなご」、「ばった」、「食い荒らすいなご」です。日本語では、あまり、その違いが良くわかりませんが、ヘブル語では、みな別々の名前です。ヘブル語には10種類のいなごということばがあります。それだけ、イスラエルではイナゴは日常生活に密接な関係をもっていました。例えば、熱帯の熱い国では、雪といえば「雪」ということば一つしかありません。しかし、寒帯の北国では、「さざめ雪」「粉雪」「ざらめ雪」「ぼた雪」・・・たくさんの表現があります。日常生活に密接に関係しているからです。イナゴは、ひとつの国のように、しかも、隊列を組んだ軍隊のように、すべてのものを食べつくします。ブドウの樹も、イチジクの木も、丸裸にします(7節)。ブドウの樹は枯れ、イチジクの木はしおれ、さくろ、なつめやし、りんご、あらゆる野の木々が枯れてしまいます(12節)。これは2章11節まで続きます。今まで一度もみたことがない、主の裁きの火です。ただ、主の前にひれ伏し、悔い改め、祈るのみです。断食をし、きよめの集会を開くことです(14節)。「きよめ」の語源は、「仕事をやめて」ということばです。仕事の手を止めて、祈るということです。いま、直面している問題の解決は主から来ます。主に解決を求めて祈りましょう。主は全能なる神、すべての問題を解決し、祝福へと変えて下さるお方です。きょう、主に祈りましょう。
清宣教師