①言い伝えについての議論(1節~20節):イエス様の名声がエルサレムの都の方まで伝わるようになりました。そこで、エルサレムからパリサイ人や律法学者などの宗教指導者たちの一団が、イエスの調査のために派遣されてきました。そして、早速、弟子たちがパンを食べる時、当時の言い伝えに従わないで手を洗わないでパンを食べているのを見つけて、「なぜ言い伝えを守らないのか」と言ってイエスを糾弾しました。それに対して、イエス様は、パリサイ人や律法学者に対して、「あなたがたは、自分たちの言い伝えのために、言い伝えよりもはるかに重要な神のことば(神の律法)を無にしている」と言われて具体例を示して指摘されました。それから、群衆を呼び寄せてお話しをされました。人を汚すのは、口から入るものではなく、口から出るもの、心から出るものが人を汚すのだと言われました。これは、とても、常識では考えられない発想です。天の視点からイエス様は解き明かしをされました。イエス様から解き明かされない限り、私たちは、いつまでも古い考えで縛られていたに違いありません。自分たちの言い伝え、自分たちの常識、自分たちの価値観などによって神のみことばを無にしてはならない、ということ強く教えられます。
②カナンの女の信仰(21節~28節):イエス様は、ユダヤ教の指導者たちによる妨害を避けるために、ツロとシドンの地方に立ち退かれました。そこは異邦人の地でした。そこでイエス様たちが出逢ったのは、カナン人の女でした。カナン人とは、イスラエルの民が約束の地に定住する前に住んでいた先住民でした。彼女は、悪霊につかれた娘のために、あえてイエス様のもとに助けを求めてやってきたのでした。しかし、イエス様は、ひとこともお答えになりませんでした。しかし、カナンの女はあきらめることなく、イエスのあとについてきて「主よ。ダビデの子よ。私をあわれんでください」と叫び続けてやめないのです。それで、弟子たちがみかねてイエス様に、あの女を帰してやってください、と言いました。そこで、イエス様の前にカナン人の女がやってきてひれ伏しました。「主よ、私をお助け下さい」。ところが、イエスは、自分はイスラエルの家の失われた人たちのために働いているのであって、「子どもたちのパンを取り上げて子犬に投げてやるのは良くないことです」と言い渡しました。カナン人の女はそれで引き下がるどころか、「主よ。その通りです」、「ただ、子犬でも主人の食卓から落ちるパンくずはいただきます」と答えました。その答えに対して、イエス様は感動されて「あなたの信仰は立派です。その願いどおりになるように」と言われました。本来は、神の恵みから除外されていると考えられていたカナン人でしたが、娘の救いのために、必死でイエス様にお願いしました。そして、イエス様の突き放すようなことばに対して、イスラエル人にもみられないような謙遜と素直さと信仰で応答しました。異邦人であれ、その信仰には、イエス様は分け隔てなく応えられるのです。
③4千人の給食の奇蹟(29節~39節):イエス様の一行は、ツロとシドンからガリラヤ湖畔のデカポリス地方に来られました(マルコの福音書7章31節参照)。デカポリスとは、ギリシャ語で10の町という意味です。ここも、異邦人の町であったようです。この地方にもイエス様の名声は広まっており、多くの病人やハンディをもつ人たちが集まってきました。そして、イエス様は彼らを癒されました。それで、異邦人である彼らも、イスラエルの神をあがめ、食べる物もないのに3日間もイエス様の一行について来たのでした。イエス様は、再び、大勢の群衆を7つのパンと少しの魚で養いました。彼らは食べて満腹し、パン切れの残りは7つの籠にいっぱいになりました。男だけで4千人ですから、女と子どもたちを含めれば8千人くらいはいたことと思われます。この奇蹟は、異邦人の地で行われたことを考えると、イエス様は求める者には、異邦人やイスラエル人の区別なく、恵みを与えらえたことを知ります。
以上ですが、カナン人の女のような謙遜と素直さと信仰をもってイエス様を見上げたいと思います。イエス様のことばの奥に隠された真意を見抜いて、簡単にあきらめないで、求め続けることです。
清宣教師
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