①変貌の山(1節~13節):最初の記事は「変貌の山」として知られています。イエス様が直近の弟子たち3人を連れて高い山に登りました。すると、イエス様の内側から栄光が輝きだしました。神の御子としての栄光でした。旧約聖書の律法の代表者であるモーセと旧約聖書の預言者の代表であるエリヤの二人が、メシヤであるイエス様と打ち合わせをしているのです。ルカの福音書によると、3人の話題はメシヤの最期についてでした。最期と訳されたことばは「エクソドス」です。出エジプト記を、英語では「エクソドス」と言います。つまり、3人の話題は、旧約の律法と預言が示していたメシヤによる贖いの死、十字架の贖いについてでした。それは、メシヤによる苦難の死であると同時に、「エクソドス」、つまり、神の民の解放(出エジプト)の御計画でした。すべての人類が罪の奴隷から、死の呪いから、解放される唯一の脱出の道について、3人で確認し、主の御計画の成就のために話し合ったのです。そのとき、メシヤであるイエス様は、神の御子としての栄光に包まれていました。ペテロは、モーセとエリヤとイエス様の3人が話し合っている時、自分で何をしているかわからずに、「3つの幕屋を造ります」と口出ししてしまいました。ここで、天から声がして、弟子たちに対して、「これはわたしの愛する子、わたしはこれを喜ぶ。彼の言うことを聞きなさい」と言われました。また、彼らが山を下りるとき、イエス様は、「わたしがよみがえるまで、今見た幻については誰にも話さないように」と注意されました。ここで教えられることのひとつですが、ペテロは、何かを話すことが大事であると思って、モーセとエリヤとイエス様の3人の会話に口出ししました。しかし、大事なことは、神の御子の声を聴くことです。また、神様から与えられる時が来るまで、誰にも話さない方がよいこともあります。
②からし種ほどの信仰(14節~21節):山を下りてくると、他の弟子たちが悪霊に憑かれた子を救い出すことが出来ないで苦闘しているところでした。それで、イエス様は「その子をわたしのところに連れてきなさい。」と言われて、その子にとりついていた悪霊をしかりつけました。それで、悪霊はその子から出て行き、てんかんから解放されました。そのあと、悪霊を追い出せなかった弟子が、イエス様のところにきて、そっと尋ねました。「なぜ、私たちには悪霊を追い出せなかったのですか」。そこでイエス様は、「あなた方の信仰が薄いからです。もし、からし種ほどの信仰があったら、この山に『ここからあそこに移れ』と言えば移るのです。どんなことでも、あなたがたに出来ないことはありません」と言われました。彼らが失敗した原因は、イエス様から悪霊を追い出す権威を授けられていたにもかかわらず、確信をもってその権威を用いようとしなかったことにあります。
③第2回目の十字架の受難の告知(22節~23節):イエス様の一行はガリラヤに戻ってきました。そこからエルサレムに向かうことになっていました。そこで、イエス様は弟子たちに、再び、ご自分が苦難を受けられることを予告して、弟子たちが心の準備をするように求めました。弟子たちは、イエス様が殺されるということを知らされて非常に悲しみました。イエス様のメシヤとしての働きの本質をまだ、弟子たちは悟ることが出来なかったようです。
④宮の納入金(24節~27節):20歳以上のユダヤ人は、エルサレムの神殿を維持するために、毎年、半シェケル(2ドラクマ)を納めることが義務付けられていました。ペテロは、集金に来た人が、「あなたがたの先生は、宮の納入金を納めないのですか」と質問された時、即座に、「納めます」と返答しました。しかし、家の中に入ったペテロは、イエス様から、本来は宮の納入金を支払う義務がないことを教えられました。一方で、イエス様は集金人たちをつまずかせないために支払うという決断をペテロに明かされました。そして、湖で最初に釣れた魚を取り、その口からスタテル1枚(4ドラクマ)が見つかるから、それで二人分を支払うように命じられました。イエス様は、このように、無用な衝突は避けられました。私たちは、御国の一員となったのですが、この世の国の政府に税金を支払うのも、証しのひとつです。
以上です。主は、ここでも生ける神の御子であることを明らかにしておられます。わたしたちは、からし種の信仰をいただく必要があります。そうすれば、隣人の必要に答えることが出来ます。
清宣教師
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