1節―11節:「エルサレム入城」の場面です。民衆は、棕櫚(しゅろ)の葉を振ってイエス様のエルサレム入城を歓迎した日です。「棕櫚主日」と呼ばれています。ゼカリヤ書9章9節に預言されていた通り、イエス様はロバの子に乗って入城されます。王としての入城ですが、普通の王とは違います。フランスの凱旋門をくぐっての入城などは有名ですが、イエス様は彼らとは違い、柔和なお方としてみすぼらしいロバの子に乗って入城されました。オープンカーでもなく、戦車でもなく、ロールスロイスでもありませんでした。イエス様は、わたしたちにとっても、王でおられます。「あなたの王があなたのところに来られる。」(21章5節)。イエス様は人の子として、私たちのところに来られました。12節―17節:宮の庭には、犠牲の動物やハトなどを売る商売人がいました。イエス様は「祈りの家を強盗に巣にしている」と厳しい言葉で、商売人たちを宮の庭から追い出しました。宮の庭で犠牲のための動物やハトを売るようになった経緯には理由がありました。人々が宮に犠牲の捧げものをする場合には、各自が犠牲として捧げる羊や牛やハトを自分の手で連れてきました。そこで、祭司に見せて、病気や傷のないものであることの検査を受けて、合格したら、それを捧げるのでした。当時、遠くから来る人たちには便利でした。遠くから連れてきて不合格となったら無駄になります。それで、宮の庭で検査済みのものを購入できれば便利でした。しかし、だんだん、自分たちで犠牲の動物をもってくるものは、なかなか、合格とせず、宮の庭で売っている物しか受け入れないようになっていきました。そして、その商売は、宮の祭司たちの許可のもとに成り立っていたので、いつしか、独占的に暴利をむさぼるようになっていたのです。そのリベートは祭司たちの懐に入っていく仕組みでした。ですから、イエス様は、この宮を「強盗の巣」にしているといわれて商売人たちを追い出したのです。一方で、祭司たちが汚れたものとして宮の庭から追い出していた盲人や足なえの人たちを癒して、宮の庭にはいれるようにしました。また、祭司たちから疎んじられていた幼子たちの賛美をも受け入れられました。18節―22節:このイオジクは、誰もが実を期待する姿でした。いかにも実をつけている立派なイチジクの姿をしているのですが、しかし、実際には、実はなかったのです。それで、イエス様はそれを、おことばにより、根元から枯らしてしまいました。これは歴代の預言者も用いられた方法でした。実物教訓です。イチジクの木は、イスラエルを象徴しています。イスラエルの国は、いま、見ましたように、エルサレムの神殿で祭りがおこなわれ、多くの民たちが礼拝し、祭司たちは犠牲の動物をささげていました。つまり、外見はとてもよい神の民のようでした。しかし、その実(じつ)、民たちの礼拝は形式的なものであり、祭司たちは自分たちの利得を求める強盗に堕していました。メシヤであるエルサレムの入城を熱狂的に迎えて民たちも、4,5日後には、「十字架につけろ」と狂い叫ぶ群衆になってしまいます。まさに、葉の茂ったイチジクの木でした。しかし、実のないイチジクの木は、枯れてしまうのです。その警告を、イエス様はなさったのです。23節―32節:ここは、分りやすいので省略します。33節―46節:「家の主人」とは、父なる神様のことです。「農夫たち」とはユダヤ人の宗教指導者(祭司や長老たち)たちのことです。「しもべ」とは、旧約時代に登場する預言者たちです。「息子」とは、神のひとり子、イエス様のことです。ここでは、イエス様が、ひとつの例え話をされて、ユダヤ人の指導者に質問します。そして、彼らの答えが、彼らへの判決となるのです。彼らは自分たちが「悪党」であること、「容赦なく殺してしまうべき者」であると判決を下しました。恐ろしい個所です。私たちにも大いに関係している聖句です。ローマ人への手紙2章1節―5節に、次のように記されています。「ですから、すべて他人をさばく人よ。あなたに弁解の余地はありません。あなたは、他人をさばくことによって、自分自身を罪に定めています。さばくあなたが、それと同じことを行っているからです。私たちは、そのようなことを行っている人々に下る神のさばきが正しいことを知っています。そのようなことをしている人々をさばきながら、自分で同じことをしている人よ。あなたは、自分は神のさばきを免れるのだとでも思っているのですか。それとも、神の慈愛があなたを悔い改めに導くことも知らないで、その豊かな慈愛と忍耐と寛容とを軽んじているのですか。ところが、あなたは、かたくなさと悔い改めのない心のゆえに、御怒りの日、すなわち、神の正しいさばきの現われる日の御怒りを自分のために積み上げているのです。」
清宣教師
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