さて、23章は、全体的には律法学者とパリサイ人への非難のメッセージとなっております。
律法学者もパリサイ人も、ユダヤの国の宗教指導者としての誇りを持ち、社会的にも重要な地位におかれていました。それだけ、主の前では、社会全体への影響のゆえに、厳しく糾弾されることも必要でした。イエス様は、民衆へのメッセージでは想像できなかったほどに、律法学者とパリサイ人たちに対して厳しい態度で臨まれました。
1節―12節では、弟子たちに対して律法学者やパリサイ人たちのようにはなるな、と言われます。彼らは、言うことは言うが実行していない。先生らしく振舞うが、じつは、生活の中身はなっていない。偽善的で、人の目を気にして、人からの賞賛をうけることを欲している。そのような彼らを見習ってはならない。あなたがたは真のリーダーシップを持つ人になりなさい。みずからを高くする者は、主によって低くされる。真のリーダーとは自分を低くする人であり、みなに仕える人である。そうすれば主が高くされる。
13節―36節では、律法学者とパリサイ人に対する非難のメッセージです。「わざわいだ」という嘆きのことばから始まります。これは「さいわいだ」という山上の垂訓で民衆たちに語られたメッセージと対照的です。さいわいとは、主に祝福されているという意味です。わざわいとは、主の前に忌まわしいという意味です。ここでは、わざわいだ、と8回も繰り返し、宣言されています(13,14,15,16,23,25,27,29節)。現代流に言えば、神学者、牧師などの教職者に相当すると思われます。あるいは宗教に熱心なクリスチャンにあてはまる警告であるとも理解できます。まず、聖書よりも自分の教えに執着して、人間のことばを教えてはならないこと(13節)、祈りを利得の手段としないこと(14節)、改宗者に誤りを教えないこと(15節)、屁理屈で、神のことばを骨抜きにしてはならないこと(16節―22節)、枝葉末節なことに注意を向けさせて、結果的に、律法の本質から離れるようなことがあってはならないこと(23節ー24節)、他の人の評判を気にして、外側を良く見せるような生き方ではなく、心の内側をきよくすること(25節―36節)などなどです。
37節―39節では、イエス様の目がエルサレムに向けられます。そこには、立派な神殿があり、大勢の巡礼者が訪れ、祭司や律法学者、それに、国会に相当するサンヘドリンの議員たちもいました。しかし、神の目から見るなら、何度も何度も呼びかけたにもかかわらず、神の呼びかけを無視して、反逆しつづける姿でした。イエス様は、「ああ」という嘆きのことばを発せられました。多くの預言者たちを通して神のみこころが伝えられ、そして、いま、神の御子を通して神のみこころが伝えられているのに、それを無視しむしろ、御子を殺そうとする反逆の町なのです。エルサレムの住民は、メシヤを受け入れず、拒絶し、殺しました。それで、メシヤが再臨されるときまで、再びエルサレムを訪れることはないのです。
私たちは、神の途方もない恵みによって救われたものですが、いつのまにか、神を中心とする生き方から離れてしまい、宗教熱心なクリスチャンになってしまったり、あるいは、世の生き方に埋没して生きるクリスチャンになったりしてしまう恐れがあります。私たちの霊が、いつも、聖霊様との交わりの中にありますように、ブドウの幹であるイエス様と繋がる枝でありますように。
清宣教師
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