夕陽を受けて黄金色に輝く壮大な神殿を見上げて、弟子たちはイエス様に注意を促しました。なんと、美しい神殿でしょう。この神殿はヘロデ大王が46年もの歳月をかけて、いまなお、工事は継続中でした。莫大な費用と労力を投入した壮大な神殿の建物に目を留めるように、イエス様の注意を促した弟子たちの思いも理解できますね。しかし、イエス様のお答えはまったく意表をつくというか、思いもかけないことばでした。「このすべての物に目をみはっているのでしょう。まことに、あなたがたに告げます。ここでは、石がくずされずに、積まれたまま残ることは決してありません。」つまり、この壮大な建物はやがて、完全に壊滅する時がくると言われたのです。そこで、弟子たちは、イエス様に尋ねました。「いつ、そのようなことが起こるのでしょう。あなたの来られる時や世の終わりには、どんな前兆があるのでしょう。」そこで、イエス様が語られたのが24章です。前にもお話しいたしましたが、預言とは山の峰をみるようなものです。目の前にある峰があり、そこに行くと、その後ろに別の峰がみえてきます。さらに、上ると、また、その後ろに峰が見えてきます。つまり、いくつかの峰が重なって見えるようなものです。例えば、15節に記されていますが、「預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべき者』が、聖なる所に立つのを見たならば、(読者はよく読み取るように。)そのときは、ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。屋上にいる者は家の中の物を持ち出そうと下に降りてはいけません。畑にいる者は着物を取りに戻ってはいけません。・・・」と言われました。これはダニエルの預言です。ダニエルが預言してから300年くらい経過して、最初に成就したのが、紀元前167年、シリア王のアンティオコス4世が、エルサレムの神殿にゼウスの祭壇を築いて忌むべき物で神殿を汚したときのことです。しかし、イエス様は、この預言を引用して将来起こる出来事であるとされました。この預言を重視していたクリスチャンは、注意深く、見張っておりました。そして、紀元後70年、エルサレムがローマの将軍タイタスの軍勢によって包囲されたとき、すぐ山に逃げ出して多くの者が助かったと言われています。この時、エルサレムは完全に崩壊しました。ところで、この預言はそれでおわりではなく、終わりの日の私たちにも適用されるものです。しかし、今はエルサレムに神殿はまだ建っていません。あの紀元70年のエルサレムの陥落後、イスラエルの国は消滅していたのですが、約1900年の時を経て、1948年、イスラエル共和国が誕生しました。そして、今後、エルサレムの神殿が再建されるとき、荒らす憎むべき者(反キリスト)が再び、エルサレムを崩壊させようとするのです。さて、この世の終わりには、偽預言者、キリストを自称する者、地震、飢饉、戦争のうわさ、愛が冷える事、たくさんのしるしが与えられています。しかし、主の再臨のその日は、誰にもわかりません。36節に記されている通りです。「その日、その時がいつであるかは、だれも知りません。天の御使いたちも子も知りません。ただ父だけが知っておられます。人の子が来るのは、ちょうど、ノアの日のようだからです。」大事なことは、44節~51節に記されています。「だから、あなたがたも用心していなさい。なぜなら、人の子は、思いがけない時に来るのですから。主人から、その家のしもべたちを任されて、食事時には彼らに食事をきちんとあたえるような忠実な賢いしもべとは、いったいだれでしょう。主人が帰って来たときに、そのようにしているのを見られるしもべは幸いです。」毎日、とにもかくにも、主の再臨を覚えて、この世では私たちは寄留者であり旅人であることを覚えて、天の御国を目指すものとして、神の国と神の義をもとめて、忠実に、誠実に、主に仕える人生を送ることです。
清宣教師
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