1節~8節の個所では、アブラハムは樫の木のそばで、日の暑いころ、天幕の入り口に座っていました。じりじり照りつける日中、この地方では昼寝の習慣がありました。アブラハムも、仮眠をしていたのかも知れません。目をあげると、3人の旅人が近づいてくるのが見えました。この3人は、あとで分ることですが、一人は主であり。あとの二人は御使いたちでした。アブラハムは、それとは知らずに、最高の礼をもって、ひれ伏して挨拶しました。そして、旅人にとって大切な足を洗う水、そして、心地よい木陰、それに、食べ物をもって接待しました。アブラハムはサラのところへ走って行き、3セア(22.8リットル)の小麦粉でパン菓子を作らせました。それから、凝乳と牛乳と子牛1頭分の肉料理をもって、旅人をもてなしました。旅人は木陰の下で、アブラハムが給仕したので、心地よく料理を楽しむことが出来ました。「少しの食べ物」(5節)と言っていますが、実際には、食べきれないほどの料理でした。このような「おもてなし」は、気前のよいおもてなしであり、気持ちのよいものです。9節~15節では、御使いが、突然、サラの居所を尋ねました。アブラハムは驚きました。紹介もしていないのに、自分の妻の名前を知っているのですから。この辺の会話で、ただの旅人は違うことに気付いたのかも知れません。御使いは、「来年の今頃、あなたの妻には、男の子が出来ている」と語りました。サラは、御使いの後ろの天幕の入り口で、その会話を聞いていて、内心、笑ってしまいました。その理由は、高齢になっており常識では、もう子供が生まれるなどということは不可能であると知っていたからでした。しかし、主はアブラハムに言われました。「主に不可能なことがあろうか。」と言われて、重ねて、来年の今頃、サラには男の子が出来ていると言われました。一方、サラは恐ろしくなって、笑ってなどいません、と強く否定しました。しかし、主は「確かにあなたは笑った」といって、会話をやめられました。16節~33節では、3人の旅人を見送るために、アブラハムが天幕の外へ出ると、旅人達はソドムを見下ろすことが出来る、丘の方へ上って行ったので、アブラハムもついていきました。そこで、主はソドムとゴモラの町の人たちの罪が非常に重いことを指摘されて、その実態を調査するために二人の御使いを送ろうとしていることをアブラハムに伝えました。そして、ふたりの御使いは、ソドムの方へ進んで行きました。そのとき、アブラハムは、主の前でソドムの町のために、執り成しを始めました。「あなたは本当に、正しいものを、悪いものと一緒に滅ぼし尽くされるのですか?もし、その町に50人の正しい者がいたら、それでも、滅ぼし尽くされるのですか、全世界を裁くかたは、公義を行うべきではありませんか」と訴えました。それに対して、主は、「ソドムに50人の正しいものを見つけたら、その人たちのために、その町全部を赦そう」と言われました。それから、アブラハムは、では45人でしたら、もし40人でしたら、もし30人でしたら、もし20人でしたら、もし10人でしたら、と言って、主に食い下がりました。しかし、主はそこで、去って行かれました。10人という数字は、ロトと妻、それに既婚の娘2人とその婿たちとその子供たち、それに未婚の娘2人を合わせた数になります(19章12節、14節参照)。ロトにとっては、10人は最低いると思ったのでしょう。しかし、その期待は裏切られたのです。主とアブラハムとのやり取りをみていると、むしろ、主はアブラハムが、このように執り成すことを喜んでおられるように感じます。なぜなら、主はアブラハムに対して、その都度、ていねいに応答されているからです。使徒パウロもそれを知っていたのでしょう。同国人のユダヤ人のために、執り成しの祈りをしています(ローマ人への手紙、9章3節参照)。御子イエス様は、父なる神の御座の右におられて、私たちのために執り成しておられます(ローマ人への手紙、8章34節参照)。アブラハムが執り成しの祈りの根拠としたのは、主の公義と主の憐みでした。私たちの執り成しの祈りの根拠も、主の公義であり、主の憐みです。また、自分に与えられた主のみことばの約束を根拠に執り成すことも有効です。きょう、主にあって、私たちの家族、兄弟姉妹、隣人たちのことを覚えて、執り成しの祈りを捧げましょう。それが主の御心だからです。清宣教師
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