主はモーセに告げて言いました。「あなたがたの神、主であるわたしが聖であるから、あなたがたも聖なる者とならなければならない」(2節)。イスラエルの民は、すでに、十戒の神のことばを与えられていました。ここでは、神の民として聖であることを保つために、十戒のことばを具体的に日常生活に適用した場合の事柄について述べられています。まずは家庭でのことですが、神の前に聖なる者となるということは、自分の母と父を敬うことです。また、創造主なる神との関係において、創造のみわざを記念する安息日を守ることです。私たちは造られた者であることの信仰の告白です。そして、創造主ではなく人の手で造った偶像を拝んだり、鋳物の神々を作ることをしないことです。宗教的ないけにえを捧げるなら、自分勝手な捧げ方ではなく、神が定められた方法に従うことです(1節―8節)。
さて、土地の収穫について注意すべきことが記されています。ただし、このレビ記の頃は、イスラエルの民は荒野を放浪している時期であり、畑を耕し土地の収穫物を得るのは、まだまだ、約40年も先のことです。でも、ここで、約束の土地に入った時のために、あらかじめ、注意すべき点が記されています。まわりの民たちの考え方に染まらないようにするためです。異教の民たちは、土地の収穫物をあくまでも自分のものであると主張して、畑の隅々まで刈り取っていました。しかし、創造主は憐み深いお方です。神の民であるなら、神にならって憐み深いものとなるのが、聖なる民の使命です。創造主は、畑の隅や落穂は貧しいもののために残しなさいと言われるのです。また、ブドウの収穫でも落ちた実は、社会的にも経済的にも弱い立場にある。貧しいものや在留異国人のために残してあげなさいと命じられているのです(9節、10節)。
盗みや詐欺、偽り、偽証、虐待、搾取、賃金の払いの引き伸ばしなど、また、障害者に対する蔑視や虐待などについて、ひとつひとつ、注意を与えています(11節―14節)。さらに、不正な裁き、中傷、復讐なども禁じています(15節―18節)。そして、その最後に、有名な聖句ですが、「あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい。わたしは主である。」と締めくくっています。主は、ご自分の民を全世界の模範の民とするために注意を与えています。主のみこころは、このような聖なる民が、全世界に満ちることでした。
19節以降は、家畜の交配や、作物の混播や2種類の糸での混紡などを禁じていますが、これは実害をもたらすというよりも、イスラエルの民が、異教の民と混じることを禁じる、象徴的な戒めと思われます。23節以降の果樹栽培において3年間はその実を取って食べてはならない、という。その理由は果実が無割礼であるからと言われています。4年目に、主への賛美の捧げ物となり、5年間から実を食べることが出来ると規定されています。実際上、果樹の樹勢を損なうことがないようにとの配慮もありますが、本質的には、その土地も、その土地の収穫も、創造主によって無償で与えられたことへの感謝の気持ちを表すものであると思われます。それは、その後、収穫物の初穂を主に捧げることを通して表現されるようになります。26節以降は、明らかな異教の習慣や風習に染まらないための禁止事項です(26節―31節)。老人を敬い、在留異国人を大切にすることは、現代にも当てはまる神の民としての良い習慣です。不正なはかりを用いないこと、これも聖なる民にふさわしい生き方です(35節―36節)。こうして、神の前に聖なる民となることの大きな責任が指摘されています。
イエス様は、クリスチャンを「世の光」、「地の塩」と呼んでいます。創造主であり、贖い主である神は、ご自分の民がこの世において、異教の民とは違う生き方をすることを切に願っておられます。つまり、クリスチャンたちによって、神の国が、この地にもたらされることを切に願っておられるのです。私たちは、この切なる神の願いに、真剣に心を傾けて、応答しているでしょうか。「御国を来たらせてください」という主の祈りが、お題目ではなく、私たちの全身全霊からほとばしるものになりたいです。主の霊によって、私たちを満たしてください。清宣教師
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