後には、イスラエル王国の首都はエルサレムになりますが、この時期は異邦人の王アドニ・ツェデクが支配する町でした。アドニ・ツェデクは、イスラエルの軍勢が、アイを攻め取り、ギブオンの住民たちがイスラエルと和を講じたことを知り、非常な危機感をもったようです。ヘブロンの王ホハム、ヤルムテの王ピルアム、ラキシュの王ヤフィア、エグロンの王デビルに使いをやって、5人の王たちで同盟を結び、イスラエルと戦うことを提案しました。まず、その手始めとして、裏切り者(?)のギブオンの町を打とうと計画しました。そこで、ギブオンの住民たちは、急ぎ、ギルガルの陣営のヨシュアのもとに、使いをやりました。「あなたのしもべどもからあなたの手を引かないで、早く、私たちのところに上って来て私たちを救い、助けてください。山地に住むエモリ人の王たちがみな集まって、私たちに向かっているからです」。その知らせを聞いたヨシュアは、主にうかがいをたてました。主は5人の王たちの同盟軍を「恐れてはならない。彼らをあなたの手に渡した。」と宣言されました。それで、ヨシュアと勇士たちは、夜を徹して行軍して、ギブオンの町を包囲していた5人の王たちの同盟軍を撃破しました。(日本の歴史で言えば、秀吉が本能寺の変を知った時に、前線から、急遽、夜を徹して軍勢を率いて行軍し、明智光秀の軍勢を不意打ちして勝利をおさめたことなどを思い起こさせる出来事です)。しかし、ここでは、奇跡が起こりました。主が敗走する同盟軍の上に、天から大きな雹の石を降らせたのです。剣で死んだ者より、雹に打たれて死んだ者の数が多かったと記されています(11節)。5人の王たちは逃げる途中で、洞穴に隠れて、イスラエルの軍勢につかまってしまいました。戦闘が終わってのち、ヨシュアは、5人の王たちを引き出して、処刑しました。ヨシュアは、さらに、マケダを攻め取り、リブナ、ラキシュ、エグロン、ヘブロンへと進み、ことごとく、勝利をおさめました。それから、引き返して、デビルの町を攻め、山地、低地の町々、さらに、カデシュ・バルネアからガザまでの地域、ゴシェンの全土をギブオンに至るまで占領しました。それはイスラエルの神が、イスラエルのために戦われて、勝利をおさめられたからでした。こうして、ヨシュアは、全イスラエルの軍勢を、ギルガルの陣営に引き揚げさせました。きょうの個所は、イスラエルの軍勢が、約束の地の南部の地域を占領した記録となっています。
ところで、ヨシュアの信仰の偉大さについて、故・マーリン・キャロザース師(獄中の賛美の著者、長い間、従軍牧師として仕える)は、次のように記しています。ヨシュア。彼は何という人物でしょう。他の人々が不平を言っているとき、ヨシュアは学んでいました。荒野の生活においてただひとつの食べ物(マナ)しかないときに、何百万人という人々が不平を言いました。しかし、ヨシュアは人々と違っていました。ヨシュアは黙して語らなかったのです。そして、神さまは神の民を導くのにヨシュアを選ばれました。ヨシュアは、主に語り、イスラエルの民の前で宣言しました。「日よ。ギブオンの上で動くな。月よ。アヤロンの谷で」(10章12節)。そんなことが本当に起こったのでしょうか?そうです。神のみ言葉は信頼できます。それは本当に起こったのです。考えてみてください。ヨシュアは、日と月を止めるためには、膨大な力が必要だということに気づいていませんでした。太陽の運行、月の運行を止めるには、驚くべき信仰が必要でした。そして、創造主なる神様は、ヨシュアの信仰に応えて行動を起こされました。私なりに考えたことは、ヨシュアはすでに出エジプトのときに、10の奇跡を体験し、紅海の水が裂けて乾いた海の底をあるいた体験があり、ヨルダン川がせき止められるという体験をしましたから、それらの体験が積み重なり、確信をもって「日よ。ギブオンの上で動くな。月よ。アヤロンの谷で」と宣言できたのだろうと推測してみました。しかし、よく考えてみると、イスラエルの民はみな、同じ体験をしても、不信仰のゆえに、荒野で死に絶えました。体験したことが信仰の成長につながらなければ、無に等しいのです。私たちもヨシュアのように、日々、信仰によって体験したことが信仰の成長につながる人になりたいですね。清宣教師
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