第8番目の士師の登場です。ギルアデ人のエフタです。彼は、遊女の子でしたが、勇士でした。ところが、ギルアデの妻も、男の子たちを産んだとき、彼らは父の家から、エフタを追い出しました。そこで、エフタは兄弟たちのところから逃げて行き、トブの地に住みました。そこで、社会的に身分も低く、あまり認められていない、経済的にも困窮したものが、いつのまにか、エフタのもとに集まってくるようになりました。旅人達から金品をまきあげたりする、ならず者たちの一団の首領となっていました。ある意味、山賊の頭のような武装集団のリーダーとなっていたようです。しばらくたって、アモン人がイスラエルに戦争をしかけてきました。イスラエルの長老たちは、防戦の備えがなく、考えた挙句、武装集団のリーダーとなっていたエフタに頼る以外にないことが分ってきました。そして、エフタのもとへ行きましたが、最初は案の定、エフタは自分を追い出した人たちに対して、その提案を拒絶しました。しかし、ギルアデの長老たちはエフタに新しい提案をしました。それは、もし、エフタがイスラエルの人たちと一緒に行って、アモン人と戦ってくれるなら、ギルアデの住民全体のかしらとして迎える、という提案でした。そこで、エフタは、その提案を受け入れました。彼らとエフタは、主の前で契約を結びました。
まず、エフタがしたことは、アモン人の王との外交交渉でした。これまでのイスラエルの歩みについて詳細を説明して、なぜ、アモンがイスラエルを攻めてきたのか、その理由を訪ねています。それに対して、アモンの王は、使者たちを送って、その理由を述べて、あなたがたがヨルダン川に至るまでの私の国を占領したのだから、いま、この地を返してほしい、という返答でした。そこで、エフタは、再び、アモンの王に対して、使者を遣わしました。そして、もう一度、詳しく、イスラエルの過去の行動について、説明しました(14節~27節)。しかし、アモン人の王はエフタが彼に送ったことばを聞き入れませんでした。こうして交渉が決裂しましたので、エフタは、ギルアデのミツパからアモン人のところへ進軍しました。ところが、エフタは自分勝手な誓願を立ててしまいました。「もしあなたが確かにアモン人を私の手に与えてくださるなら、私がアモン人のところから無事に帰って来たとき、私の家の戸口から私を迎えに出て来る、その者を主のものといたします。私はその者を全焼のいけにえとしてささげます。」。この誓願が、あとで、エフタを地獄の苦しみに陥れることになるのです。誓願は自分のものを捧げるべきであり、自分以外のものを勝手に捧げるなどと誓うのは、もってのほかであることを知ることになるのです。こうして、エフタはアモン人のところに進んで行き、彼らと戦い、主がアモン人の軍勢をエフタの手に渡されたので、大勝利をおさめました。そして、意気揚々と自分の家に帰ったのですが、そのとき、一番最初に自分を迎えたのは、ほかでもない、ひとり娘でした、エフタは、自分の誓願を取り消すことをせずに、娘をささげることになりました。主に捧げるという意味については、ふたつの解釈があります。ひとつは、いのちを捧げるというもの、もうひとつは、一生、独身として神に仕えるものとなるというもの、このどちらかということについては、まだ、決定的な証拠はみつかっておりません。
きょうの個所から分ることは、エフタは、自分の家から最初に出てきた者を、主のものとして捧げると誓いました。しかし、そのとき、自分思いの中に、自分のの家族は入っていなかったようです。でも、主は真実なお方です。エフタが最も大切にしている、ひとり娘が出迎えに来たのです。そこで、初めてエフタは、自分の身勝手さを知ったのです。他人のいのちを犠牲にすることを軽く考えていたら、自分のひとり娘ということで、いのちを重さを知ったのです。ですから、旧約聖書の中でも、新約聖書の中でも、「軽々しく誓ってはならない」という警告が繰り返されています。イエス様は、「ハイ」は「ハイ」、「イイエ」は「イイエ」というように命じました。自分の力で何事かを約束できると考えて、誓うのは、間違いです。私たちも同じ失敗をしないように、軽々しく誓うことを避けましょう。清宣教師
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