姑のナオミは、ひとつの重大な決断をします。それは、ルツのために、再婚の相手を選ぶことであり、具体的には、ボアズをルツの再婚相手として選び、その実現のために、ひとつのことを実行しようと決断したのです。そして、ルツに対して、「あなたはからだを洗って、油を塗り、晴れ着をまとい、打ち場に下って行きなさい。しかし、あの方の食事が終わるまで、気づかれないようにしなさい。あの方が寝るとき、その寝る所を見届けてからはいって行き、その足のところをまくって、そこに寝なさい。あの方はあなたのすべきことを教えてくれましょう。」と命じました。ルツは、従順に、「私におっしゃることはみないたします。」と姑のナオミに答えました。当時のイスラエルでは、大麦のふるい分けの作業は、夕方の4時頃から日没まで、海から吹いてくる強い風を利用して、麦と籾殻をふるいわけるのがふつうでした。そして、この仕事は畑の所有者が自分で行うものでした。それで、ナオミは、ボアズが今晩、作業を終えて、寝たなら、その場所を覚えておいて、ボアズの足の所をまくって、そこに寝るようにとルツに命じたのです。それで、彼女はこっそり行って、ボアズの足のところをまくって、そこに寝ました。夜中になって、ボアズはびっくりして起き上がりましたが、すべての事情を知ったあと、「あなたの望むことはみな、してあげましょう。この町の人々はみな、あなたがしっかりした女であることを知っているからです。しかし、買い戻しの権利のある親類ですが、私よりももっと近い買い戻しの権利のある親類がおります。朝になって、その親類に話してみましょう」と言いました。「買戻しの権利のある親類」という表現が出てきましたが、ヘブル語で「ゴーエール」ということばです。ゴーエールは、「贖い主」、「近親者としての義務を果たす者」、あるいは、「近親者の血の復讐をする者」、「こどものない近親者のやもめと結婚して、その土地や財産を買い戻す」というような場合に用いられます。ここでは、ナオミの夫が父祖から譲り受けた土地を、こどもがいないので土地は売られて他人の手に渡ろうとしていました。その場合、エリメレクの近い親戚から、その土地を買い戻す権利が与えられていました。ボアズは、エリメレクにとって2番目に近い親戚でした。それで、まず、その1番近い親戚が買戻しの権利を行使するかどうかを確かめる必要があったのです。
さて、ボアズは、朝まだ暗いうちに起きて、大麦6杯をはかってルツに背負わせて自分の家に帰らせました。彼女が姑のところに帰ると、姑のナオミは尋ねました。「娘よ。どうでしたか。」それで、ルツは、ボアズが、自分にしたことをみな、姑のナオミに報告しました。そこで、ナオミは「娘よ。このことがどうおさまるかわかるまで待っていなさい。あの方は、きょう、そのことを決めてしまわなければ、落ち着かないでしょうから。」と言いました。
今日の個所を振り返ると、ナオミは、ルツのために、親身になって、何をすべきかを具体的に教えてあげました。ルツはルツで、姑のことばに従順に従いました。ボアズはボアズで、ルツの行為を、打算からでたものではなく、まごころからでたものである、と受け留めました。そして、自分よりもナオミに近い買い戻しの権利のある親戚がいるので、その人に尋ねてから、ことを決めることを約束しました。ナオミも、ルツも、ボアズも、落ち着いて行動しています。主がお決めになることであると信じて、結果を主に委ねて行動しています。
きょう、私たちも、強引に、自分の計画通りに結果を引き寄せるのではなく、落ち着いて、主がすべてのことを最良最善にしてくださることを信じて、自分がなすべきことを淡々として果たしたいと思います。「あなたの道を主に委ねよ。主はその道を真っ直ぐにしてくださる」。
清宣教師