「この後」ということばから始まり、アモン人の王の死に際して、ダビデが考えたことを記しています。それは、アモン人の王ナハシュがダビデに対して真実(恵み)を尽くしてくれたことに対して、その葬儀に際して、おくやみのことばを述べて、敬意を表そうと考えたのです。どのような真実(恵み)をダビデに対して尽くしたのかは、聖書には記されていません。推測になりますが、ダビデがサウル王の手を逃れて逃避行の途上に、お世話になったものと思われます。
実は、イスラエルに対しては、ナハシュはとても残酷で、かつて、ヤベシュギルアデの人たちの右の目をえぐり取る事をもって、イスラエルにそしりを負わせようとした張本人です(サムエル記11章参照)。しかし、ダビデは個人的な恩から、ナハシュの子のハヌンに敬意を表そうとしたようです。でも、アモン人の側でも、ダビデとナハシュの間に、真実の関係があったと受け留める様子はありませんでした。むしろ、ダビデの申し出はアモン人たちの不信感を誘うことになり、彼らは、自分たちの内情を探るためにダビデが家来を遣わしたのだと結論付けました。そして、ダビデの家来たちを捕えて、彼らのひげを半分そり落とし、衣を半分に切って尻がみえるようにして彼らを送りだしました。つまり、ハヌンもまた、父親のナハシュのそっくりさんのような感じです。イスラエルに対して、そしりを負わせたのでした。その結果、どうなるか、見通すこともせずに、行動してしまったようです。ハヌンは、自分たちの行動が宣戦布告のようなものになったことを知って、あわてて、外国人の傭兵を募り、イスラエルに戦いを挑みました。
一方のダビデは、まず、追い返された家来たちのひげが元通りになるまで、途中の町で、しばらく滞在してから都に来るように命じました。まずは、家来の恥を覆ってから行動することを考えたのです。ダビデは落ち着いて行動しました。「落ち着いて主に信頼するなら力を得る」という約束の通り、ダビデとその部下たちは冷静に行動し、敵の動きを分析しました。、そこで、ダビデは、ヨアブと勇士たちに命令をくだし、戦場におくりました。ヨアブの軍勢は、アモン人とアラム人の軍勢に挟まれる形となりました。しかし、ヨアブと兄弟のアブシャイは力を合わせて、勝利を得ました。この戦いでは、ダビデは都に留まり、戦場には出なかったようです。イスラエルの軍勢は、アモン人が退却したので、それ以上、追撃することをやめました。一方、アラムの軍勢は、一度は退却しましたが、ユーフラテス川の向こうのアラム人たちを誘い、イスラエルを滅ぼそうとやってきました。そこで、今回は、ダビデ自身も出陣して、アラムに対して、全力を尽くして戦いました。その結果、アラムはイスラエルの前から逃げ去りました。そして、彼らはイスラエルと和を講じて、イスラエルに仕える者となりました。こうして、イスラエルにとって懸案であった北方の治安が確立されました。これはイスラエルにとって、とても大きな出来事でした。
きょうの個所から教えられることは、真実を尽くそうと思って行動しても、相手が誤解をして、攻撃的な態度で返してくる場合があります。そのような場合でも、即座に対応することをしないで、落ち着いて、対処することが大事です。仕返しは、主のみこころではありません。仕返しはどうしても、相手のしたことの2倍、5倍、10倍にして返さないと気が済まないからです。ですから、落ち着いて行動して対処することが大事です。そうしていると、自然に次にとるべき行動が見えてきます。それが主のみこころです。
清宣教師
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