フシャイの提案を受け入れたアブシャロムは全イスラエルから兵士を集めている間に、ダビデは戦いに備え体制を整えます。ダビデは、民を大きく3つに分け、ヨアブ、アブシャイ、イタイをそれぞれの3つの民の指揮官として任命しました。ダビデ自らも出陣したいと願いました。しかし、それは民たちは、アブシャロムたちが狙っているのはダビデ一人であり、ダビデが打たれたら戦は終わりになってしまうから、ダビデには町に残って指示してほしいと強く勧めました。それで、ダビデは民たちの提案に従い、町にとどまりました。ただ、ダビデは3人の指揮官に民がみな聞いているところで、アブシャロムを殺さないように命じました。父親に逆らうアブシャロムに対しても、どこまでも息子として助けたいという父親の思いは変わりませんでした。さて、エフライムの森という、密林が戦場になりました。それは少人数で荒野での生活にも慣れていたダビデたちにとっては有利でした。実際、剣で戦うよりも、森の中で行き倒れた者の方が多かったと記されています。神様がこのような環境を用いて、ダビデたちに勝利を与えてくださったのです。さて、戦いが展開すると、虚栄心の強いアブシャロムが戦線の先頭に立っていつしか、自分の家来たちから離れてしまったようです。そのうち、アブシャロムは、森の中でダビデの家来たちと出会ってしまいます。ところが、自慢の髪の毛(14章25節、26節参照)が樫の木に引っ掛かり、乗っていた騾馬がそのまま行ってしまい、アブシャロムはそこに宙吊りになってしまいました。アブシャロムとしては誇りとしていた自慢の髪の毛で、最後は自分の身を滅ぼすことになります。自信のあるもの、これだけは大丈夫と思っているもので人はかえって足をすくわれることがあります。自分の弱さや欠点を正直に認めて、そこにも働いて恵みを与えてくださる主だけを誇りとしていくことこそ安全な道なのです。さて、アブシャロムが宙吊りになっている姿を見たひとりの男は、ダビデの命令を心に留めていてアブシャロムに手を下すことはしませんでした。しかしヨアブはダビデの命令を無視し、道具持ちとともにアブシャロムを打ち殺しました。アブシャロムをこのまま生かしておくことは国のためにならないと思ったのかもしれません。ダビデ王のもとで軍団長を務めたヨアブですが、いざというときは王の命令よりも自分の判断を優先する傾向がありました。こうして、アブシャロムが死亡したことにより、戦いは終わりました。アブシャロムの遺体は、森の深い穴に投げ込まれ非常に大きな石くれの山を積み上げてアブシャロムを葬りました。さて、アヒマアツとクシュ人によりダビデ王にアブシャロムの死が告げられました。すると、ダビデは自分が代わりに死ねばよかったと激しく泣くのでした。いくら謀反を起こした息子であっても、父親ダビデとしてはアブシャロムの死を悲しみ泣ききるしかありませんでした。アブシャロムに謀反を起こさせた遠因は、ダビデ自身にあることをよく自覚していたからと思われます。こうしてアブシャロムの死によって、謀反計画は失敗に終わります。策略によって民の心をひきつけ、神が立てられた王に刃向かったアブシャロムは、神によって裁かれました。「自分は正しいことをしている、自分こそ王にふさわしい」と、自分を義として謀反を起こしたアブシャロムを神に打たれました。一方、自分の罪を認め、神の御手に全てを任せていったダビデを、神はあわれんでくださいました。
そういえば、この世の終わりに現れる反キリストも、自分の美しい容姿や平和的な装いで全世界の人々を惑わします。そして、人々を自分に惹きつけ、キリストに対して反旗を翻します。しかし、再臨のキリストは、王の王として、最終的に反キリストを滅ぼし、永遠の世界を樹立されます。
清宣教師
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