さて、ソロモン王のもとへ、シェバの女王が訪ねてきました。そこで、シェバの女王は、ソロモンのすべての知恵、料理、服装、家来たちの態度などを見て、「息も止まるばかりであった」(5節)と記されています。「息も止まるばかりの光景」とは、人生の中でも数えるほどだと思います。予期せぬ壮大な光景、壮麗な光景を目の当たりにした時でした。私の場合は、グランドキャニオンの光景を見たとき、息も止まるばかりの光景でした。ソロモンの知恵と繁栄は、空前絶後のものであり、「銀はソロモンの時代には、価値あるものとはみなされていなかった」(21節)と記されています。ソロモン王が用いた器はみな、純金製でした。しかし、同時に、豊富な資金をもとに、戦車や馬や騎兵を大量に購入しました。これが、かえって、主なる神ではなく、目に見える資源に頼る心を、ソロモンに与えてしまったように思います。明日の11章は、さらに、霊的にも堕落していく様子が描かれています。物質的な繁栄は、聖霊に満たされている人でないと、主から引き離す、恐ろしい力を持っているようです。
箴言30章7節~9節に次のような祈りが記されています。「二つのことをあなたにお願いします。私が死なないうちに、それをかなえてください。不信実と偽りとを私から遠ざけてください。貧しさも富も私に与えず、ただ、私に定められた分の食物で私を養ってください。私が食べ飽きて、あなたを否み、『主とはだれだ』と言わないために。また、私が貧しくて、盗みをし、私の神の御名を汚すことのないために。」アーメン。
日本の国も、高度成長時代から持続可能な成長を求める時代へと転換して、しばらくの時が過ぎました。さらに、今は新型コロナの疫病の影響でかなりのマイナス成長を余儀なくされています。しかし、その中で日本の国も多くのことを学んでいます。教会にとっても大きな転換を経験しています。これまでのように、自己中心の繫栄ではやっていけないことが明らかになりつつあります。最初の創造の時の世界のように、すべてのものが互いに助けあう、完全な生態系がモデルとなり、成長することが求められています。それはもともと、キリストの体なる教会として、主がデザインされたものです。日本ではいまだに少数派のクリスチャンですが、尊い使命を与えられています。
一方で、日本のクリスチャンも、いつのまにか、伝統的なキリスト教という流れの中で、自己義認の道を歩んできました。互いにさばきあい、分裂し、聖書が求める真理ではなく自分たちの教派、自分たちの教会を義とする生き方に染まってしまいました。なぜか、自分たちこそ正しい、自分たちこそ真理をもっているという自己義認の罠に落ちてしまったように感じます。本来は、キリストの義こそが、唯一、ほめたたえられるはずなのですが、いつのまにか、キリストの義の正反対の、自分を義とする道に陥ってしまったように感じるのです。ほかの人に対するリスペクトが失われて、他を裁くことにより自分を義とするパリサイ人の生き方が、教会の中に侵入してきたように感じるのです。
私たちの心の中に侵入してきた悪です。自分を義とする生き方です。本来、キリストが私たちに教えられたことは、自分たちの生き方を良しとするのではなく、隣人の生き方をリスペクトする生き方です。小さな仲間意識で自分たちの満足を互いに満たすのではなく、むしろ、小さな仲間意識を乗り越えて、一つの大きなキリストの体として一致する方向性です。キリストの体には、お互いにリスペクトする、一致がふさわしいのです。
清宣教師
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