1章から3章まで、系図が記されていますが、きょうの4章は、それを補足するような役割をはたしています。前半の1節~23節は、ユダ部族の支流(傍系)の系図が記されています。後半の24節~43節は、ユダ部族の中に混じり込んでいたシメオン族の系図が記されています。シメオン部族は、約束の地の割り当てにおいて、ユダ部族の割り当て地の南側に位置していました。ところが、単独で割り当ての地を占領することが出来ず、ユダ部族に依存するようになりました。そして、遂には、シメオン部族は、ユダ部族の中に散在するようになり、やがて、ユダ部族に吸収されるようなかたちとなりました。そのような経緯があったので、シメオン族の系図が、この4章の後半に補足として記されていると考えられます。それにしても、カタカナの名前が、1章から続いていますが、その中で私たちにとって特に目立つ名前がしるされています。それは、9節~10節に記されている「ヤベツ」という人物です。「ヤベツの祈り」という本が出版されて、世界中のクリスチャンたちが、「ヤベツの祈り」をするようになりました。そして、その多くの証しが知られるようになりました。ヤベツの名前は、聖書の他の個所に出てきません。ここだけに登場する人物です。しかも、父の名も、母の名も知られていません。それにしても、両親が、生れた子に、ヤベツという名前を付けた事には、理由があったに違いありません。なぜなら、ヤベツとは、「悲しみの中で産まれた」という意味を持っていたからです。ある人は、家族の中の例えば父親が不慮の事故で死んだとか、あるいは、その子が障害をもった子として産まれたのではないか、と推測しています。この祈りは、神に聞き届けられて、ヤベツの生涯は大きく変えられました。逆境の中からの叫びは、まさに、バビロン捕囚から帰還したイスラエルの民たちの状況にピッタリ一致するものでした。あるいは、後半に登場するシメオン族もまた、苦難の中で叫び、主から恵みをいただいたのかも知れません(38節~43節)。
私たちも、きょう、ヤベツの祈りを捧げたいと思います。「私を大いに祝福し、私の地境を広げてくださいますように。御手が私とともにあり、わざわいから遠ざけて私が苦しむことのないようにしてくださいますように。」アーメン。清宣教師