さて、ネヘミヤは王の献酌官としての務めを果たすかたわら、断食をして、主のみこころを求めて祈りました。約3カ月が過ぎました。アルタシャスタ王の治世の第20年のことでした。王の前に、いつものように、仕えておりましたが、そのとき、王がネヘミヤの異変に気付いて、「あなたには、きっと心の中に悲しみがあるに違いない」と尋ねました。ある意味、献酌官とは、疑わしいそぶりがあればいのちが飛ぶような職でした。つまり、王のいのちをあずかる役目でしたから、少しでも疑われれば大変なことでした。ネヘミヤは、ひどく恐れました。しかし、そこで、正直に悲しみの原因を、王に申し上げました。先祖たちの墓のある町が廃墟となっている姿でした。そこで、王は、あなたは何を願うのか、とネヘミヤに尋ねました。ネヘミヤは、そのとき、心の中で天の神に祈ってから、王に願いを申し出ました。それは故郷の町に帰り、廃墟を建て直したいという願いでした。王は旅の期間を尋ね、ネヘミヤがその期間を申し出ると、王から許可が下りました。聖書には、わざわざ、王妃もそばに座っていた(6節)と記されていますから、王妃がネヘミヤの願いを好意的にとりなしてくれた可能性があります。そこで、ネヘミヤは、旅の許可証やエルサレムを治める総督たちへの手紙、また、王室の財産を使用する許可証などを、王に願い求めました。神の恵みにより、王がそれをかなえてくれました。ネヘミヤは、エルサレムに着くや否や、早速、行動を開始しました。現地調査でした。まわりは敵だらけでしたので、信頼のおける部下だけを連れて、夜中に、城壁の現状を視察しました。そして、心の準備をしてから、主だった人たちを呼び寄せて、エルサレム城壁の再建という、心の中にあるビジョンを打ち明けました。それには、シュシャンの城で、王に仕えていた時の証し、つまり、主の恵みによりネヘミヤが城壁を再建したいという願いを王が許可した次第などを分かちあいました。そこで、民たちは「さあ、再建にとりかかろう」と決断し、再建に着手しました。ところが、ホロン人サヌバラテやアモン人で役人のトビヤ、それにアラム人ゲシェムたちが、「おまえたちは、王に反逆しようとしている」と言いふらしました。ところで、ホロン人サヌバラテは、当時、サマリヤの総督であり、トビヤはアモン人の地域の総督であったと考えられています。彼らが徒党を組んでエルサレムの城壁の再建を阻もうとしたのだから、深刻な事態でした。しかも、当時の人たちにとって、謀反の疑いをかけられることは最もおそれていたことです。しかし、ネヘミヤは、決然として、「神ご自身が私たちを成功させてくださる」と返答しました。
私たちも、周囲の敵たちの非難の声の中で、決然として立ち、「我ここに立つ」と宣言した宗教改革者、マルチンルターのような勇気が必要です。また、人種差別撤廃運動で非暴力運動で、決然として戦ったマルチンルター・キングJr牧師もいました。主のみこころであると信じたなら、一歩も退かず、堅く立つことも必要です。また、ネヘミヤのように、自分が仕える上司と話す時も、心の中で、主に祈りましょう。主よ。イエス様の勇気と愛を与えて下さい。
清宣教師