4章では、外部の敵について記されていましたが、5章では内部の問題について記しています。ある意味、外部の敵に対しては、一致結束して立ち向かうことが出来るのですが、内部の問題は複雑で、なかなか、表面化しません。表面化した時には、解決が難しいほど、こじれている場合が多いように思います。エルサレムに帰還したユダヤ人たちの間には貧富の差がありました。それが、城壁再建という自発的な労働の奉仕ではありましたが、この間、働くことが出来ない貧困層の人たちは、家の持ち物や、自分の家、あるいは自分の畑などを抵当にいれながら、なんとか、生活をする状況でした。そんな中でますます、貧富の差が大きくなっていきました。ある人たちは、自分たちの娘や息子を奴隷にして売らなければならない状況へと追い込まれている窮状を、ユダヤ人の指導者たちに訴えました。それを聞いたネヘミヤは、深く考えました。そして、結論を出して、ユダヤ人の主だったものたちや代表者たちを呼んで、「あなたがたはみな、自分の兄弟たちに、担保を取って金を貸している」と大集会を開いて責めました。聖書では、外国人に貸すときは利息を取っても良いが、ユダヤ人同士の間では利息を取ることを禁じています(申命記23章19節、20節)。つまり、神のみことばから、彼らのやっていることが、律法に違反することであることを指摘しました。そして、ネヘミヤたちが、奴隷に売られたユダヤ人を買い取っているのに、一部の者たちが自分たちの同胞を奴隷に売り渡そうとしている、それは良くない。私たちは神を恐れて生活すべきではないか。私自身も実行するから、みんなも同胞の負債を帳消しにしてほしい、利子を彼らに返してほしい、と提案しました。それは、全集団の受け入れる所となり、彼らはそれを実行すると誓いました。じつは、ネヘミヤ自身、総督でありながら、12年間、総督の手当てを受けませんでした。また、接待にかかる費用も自分で出したのでした。それゆえに、神様がいつくしんで下さるように、祈っています。
今日の個所は、民たちが一つ心になって、神のみこころである城壁再建という奉仕にあたっていたのですが、その奉仕の中で、貧富の格差が問題となりました。しかし、神の霊により導かれたネヘミヤの説教により、悔い改めがなされ、問題は是正され、解決へと導かれました。これに似たことは、使徒の働きの中でも記されています。それは、使徒の働き6章に記されている、ヘブル語を使うユダヤ人たちとギリシャ語を使うユダヤ人たちの間に起こった、毎日の配給に関するトラブルです。あのペンテコステの出来事を通して、みなが聖霊に満たされ、その日、3千人の者たちがイエスを信じて、キリストの家族として、教会が設立されました。しかし、そのあと、日常の配給のことで、教会内に問題が起こったのです。教会も、外からの迫害がありますが、時には内部からの問題が起こります。この時は、聖霊に満たされた12使徒たちが、全員を集めて、配給のために仕える人たち(執事たち)を選ぶように提案して、全員の承認を受けて、問題が解決に向かいました。私たちも、教会の運営のために、日々、お祈りする必要があります。
清宣教師